2016年8月16日火曜日

現在のESGインテグレーションに決定的に足りないものは?

SIRの熊沢です。
このサロンのFB投稿のリーチを見る限り、スチュワードシップコード、ESG投資にどう取り組むべきかなどは非常に読者の方の関心が高いです。
今回は、現在のESGインテグレーションの課題を考えていましょう。
図は、日興リサーチさんが、株式ポートフォリオの構築において、ESGの組み入れ方法を考えたものです。組み入れ方法は、投資ユニバース決定の際にESG要因を組み入れる方法と、個別銘柄の選択の際にESG要因を組み入れる2つの方法を示しています。
私がこのモデルに加えるとすると、ポートフォリオ全体のESG感応度もコントロールに加えるべきだと思います。
ESGインテグレーションという言葉がよく使われますが、実際にどの程度のことができてますでしょうか? もう1つよく使われる言葉が、「なんちゃってESGインテグレーション」です。アセットオーナーの人が、アセマネのESGインテグレーションを揶揄する際に使っています。
インテグレーションというと何か大そうな事をやっているように見えて、よくよく話を聞いてみると実はたいしたことないね、という率直な印象があるからなんです。。
その根本原因は現在のESGインテグレーションには、思考に足りないものがあるからなんです。何が足りないかというと、財務とESG、株価パフォーマンスの関係を統合化するアルゴリズムです。
アルゴリズムとはデータを価値に変換する設計図と考えてください。
総合ではなくて、統合なんです。この統合をどうするかという思考とアルゴリズムをデータおよびそのデータ解析によって示さないと、いつまでも、実際にそのESGインテグレーションのプロセスを開示した場合には、なんちゃってESGインテグレーションだね、と揶揄され続けるでしょう。
ちなみに、我々の開発した、ESG投資ダッシュボードシステムを用いると統合分析を行うことができます。他のシステムではMSCIさんも含めて、まだできるものを私は見たことはありません。
 

2016年8月15日月曜日

ESG投資エンゲージメントレポート自動生成ツール

SIRの熊沢です。
本日の日経新聞で、GPIFが投資先との直接、定期対話を始めると報じられています。
Bloomberg社とESGのカンファレンスやると、今一番参加人数が多いのGPIFですので(笑)、とにかく、GPIFESG投資の流れはどんどん進んでいくと思います。
それに、アセマネは組織的、戦略的に対応していく必要がありますね。
アセットオーナーのESG投資のレベルが高まると、アセマネはやりづらい側面はありますが、日本全体のESG投資のレベルは確実に高まっていくでしょう。上智大学の引間先生みたいな牽引者です。
今、特にGPIFがアセマネに要求して力を入れているのが、個別の企業と対話するエンゲージメントとProxy代行です。後者のProxyの代行は組織対応でなんとかなるとして、問題は、個別の企業と対話するエンゲージメントにどう対応していくかです。
組織的にスチュワードシップ対応していても、必ずしもその部門の上の人がそのスキルがあるわけでも全然ありません。個別の企業との対話するエンゲージメントは、個人の経験、力量も大きくものを言います。ちょっと5分会話するだけでもその人のエンゲージメントの力量はすぐに私にはわかります。
そこで、SIRで、ESG投資エンゲージメントレポート自動生成システムを開発しています。分野は違うのですが、エネルギーの方の省エネアドヴァイス自動生成システムは既に完成してますのでアルゴリズムはできていますので、よろしくお願いします。

2016年8月14日日曜日

スチュワードシップのエンゲージメントの質を高めるには?


機関投資家で日本版スチュワードシップコードの推進において、どうエンゲージメントをするかが大きな課題になっています。鍵は、データ解析をどう活かすに尽きると思います。

当社が開発したESG投資エンゲージメントシステムを使うことで、機関投資家と企業のエンゲージメントが日常レベルでどう変わるかを示してみたいと思います。
機関投資家さんが企業にエンゲージメントの提案を行うために、ESG投資エンゲージメントシムスムを30分操作することで、以下のような提案が可能になります。

機関投資家の企業への質問
「御社が属している電気機器セクターでは、水効率性とC02排出効率性が、財務と株価との関係が強くマテリアルな要因になっていて、その傾向はますます強まっています」
「しかしながら、御社は電気機器セクターの中で、水効率は70番目、C02排出効率は80番目とあまり高くなりません。ROEの水準は15%と上位30社に入っているので、この2つのESG要因を改善するとことで、企業価値を高めることができるでしょう。この2つの要因を、中期的にどう改善できるか具体的な目標値、計画はございますでしょうか?」

企業側の回答
「実は、その点は我々の経営サイドも課題にしていて、現在、バリューチェーンから見直しをしているところです。川上サイドの水効率性は他の企業との仕入れがボトルネックになっていて、、、、」

ESG投資エンゲージメントシステムの特徴
セクターにおいて、財務とESGがどう分布、関係しているかがわかる
企業の財務とESGの両立度合いを業界他社と比較できる
財務ファクターは予想ROEや過去のROEROEの改善率などの軸を自由に変更することができる。ESGファクターも、環境、社会、ガバナンス、総合ESGと自由に選択することができる。
□ESG
要因の中で、財務パフォーマンス、株価パフォーマンスに影響を与えている重要な要因(マテリアルな要因)を特定することができる。
自分の投資嗜好を入力すると、機械学習でレコメンドする企業を示すことができる

今度、証券会社主催で、機関投資家向けに、「ESG投資からインパクト投資へ データ解析に基づかないESG投資は必ず失敗する」というテーマで講演します。この分野で最先端研究になりますので、是非、ご期待ください。

2016年8月13日土曜日

国内期間投資家のエンゲージメントの実力は?

SIRの熊沢です。
この図は、GPIFJPX日経インデックス採用企業400社に、日本版スチュワードシップコード採用の変化についてアンケートをとったものです。
6割は肯定的に、約3割は実績作りのための形式的・画一的な質問が増えたことや経営者に面談を強要するケースがあると否定的に捉えています。
大手の機関投資家はスチューワードシップ推進担当者をつけて対応していますが、実際のところ、組織としてのエンゲージメントの実力はどの程度のものでしょうか?
投資家側の自己満足でなく、企業側に示唆や気づきを与えるエンゲージメントを実現できているでしょうか?
自分はVC出身なのでエンゲージメントはある意味当たり前なんです。面談は経営者、経営陣にしか会いませんし、話す内容は5年で会社の事業計画を実現できるかどうかを投資判断するので、中長期の経営戦略の議論になります。企業の分析、そしてこちらの質問の中に、自分の見識の高さを売りこみつつ、かつそこから投資判断に必要な情報を引き出すノウハウは優秀なベンチャーキャピタリストの基本スキルです。
多くの機関投資家の現在のアプローチである、今期のROEが達成できるか?会社が掲げる中期ROEを実現できるかという次元から話を聞いても、まあエンゲージメントの質はそれほど高まりません。
日本の株式市場は、パッシブ主流、株が嫌われる、インカムゲイン重視で、経営者と対峙して投資銘柄を選別する経験値が圧倒的に足りない面があります。
改めて、自分がVC時代に、多くのIPOした経営者と対峙して鍛えてもらったエンゲージメントの経験値は、他の人が持っていない資産で、自分にとって大きなアドバンテージだと思い知るわけです。
というわけで、上場公募投信型のインパクト投資ファンドの準備をしていますので、よろしくお願いします。

2016年8月10日水曜日

投資におけるフレーミングの必要性


SIRの熊沢です。
プライベートエクイティ会社のパートナーの友人から、今度投資する会社のレポートを書いて欲しいと頼まれて、やることにしました。

普通の人は案件に取り組むときに、すぐにいきなり情報収集してしまうんですね。そして、情報の収集結論の導出の流れですが、それだとベンチャーキャピタルの投資はうまくいかないんです。必ず失敗します。

ほとんどのベンチャー企業は新しい分野に、新しいモデルでチャレンジしようとしているので、そもそも既知の情報は限られていますから。

その時に、プロはまずフレーミングからスタートするんです。それに一番時間を使います。これをうまくやれるかどうかでVC投資の成功はほとんどが決まってしまいます。

フレーミングとは、その投資案件をどういの角度で見るかを決定し、その状況の中で、重要と考える側面と重要と考えない側面について、基本的条件を設定することです。これによって、どのような投資基準によって、その会社に投資することが別の選択肢(投資しない、別の会社に投資する)よりも優れているかを考えられるようになります。

難しく言いましたが、投資判断の基準とその判断基準が合理的であることを内包した統合フレームワークということになるかと思います。

優秀なベンチャーキャピタリストはここを過去の経験から無意識に行うことができます。

将棋で言うところの大局観に通じるところだと思います。ちなみに私はこの思考法を応用して、将棋のプロ指導棋士に3回勝ったことがありまし、女流名人にももう少しで勝てました(笑)。

それほどこの思考法は強力なんです。投資にもすごく有効なのですが、残念ながらいい本はないですで、経験から学ぶしかないです。

2016年8月9日火曜日

ダイベストメント

SIRの熊沢です。
昨日は、350.org Japanが主催する、化石燃料から資金を引きあげるダイベストメンのカンファレンスに参加しました。ダイベストメントは、私の投資テーマの1つです。
オーストラリアでは化石燃料関連の企業に融資する銀行から預金を引きあげる運動が盛りあがってきているそうです。その動きに対応して金融機関もこれまでの融資の方針を見直すようになってきています。
また、近年、海外では公的年金のダイベストメントの動きも活発化しつつあります。これは、現在の埋蔵量の8割は燃やせないとしたら資産価値はどうなるのか?市場価値は適正なのか?と考えると、合理的に売りという判断になっています。
日本ではこのような動きは全くありません。それどころか、政府の方針として石炭火力を増やそうとしています。
私のアイデアは、
預金者が預金をおろすということで自分たちの意思を表明する方法もいいが、
銀行は自己資本8%程度、資産の92%は負債関係、つまり預金が中心です。
ですから、おろした預金を銀行の株式に投資して、株主となって、自分たちの意思の表明して、銀行の融資活動をモニタリングしていくことが可能になるのではないかと思います。
この方が直接的に自分たちの意思を実現できると思います。
いかがでしょうか?

2016年8月8日月曜日

ソニーは本当に復活したのか?


ソニーの株価が上昇している。投資家はソニーの本格復活を織り込み始めているが、ソニーは本当に復活したのか?

私の答えはまだ保留中。現時点は復活の芽が出た初期段階で、サイクリカルの一時的な戻りに過ぎない。なぜなら、ソニーは私が重要だと考える根本的な問いにはまだ答えを出していないからだ。

ビジネスの根本原理は、旧態依然のビジネスを続けている会社は新しい環境変化に対応できずに衰退するということだ。組織がサイロ化してしまった企業はそのツケを支払うことになる。ソニーとてその例外ではない。

では、ソニーの何がいけなかったのか? この問いはソニーとアップルを比較してみるとよくわかる。日本の家電メーカーと比較してもわからないことだ。

商品の時代は終わりつつあり、商品のエコシステムを通じて創造される一貫した顧客体験が重要になったのだ。未来の商品は商品ではないということだ。新しい商品を作る努力は必要だが、それだけでは十分ではないのだ。

今後、ソニーはアップルのように商品戦略を全く新しいエコシステムへ転換することができるかどうか?

まだそれはできていない。その準備もできていない。

平井社長が答える必要があるのは?
1)
ソニーとは何か?
2)
日本や世界の消費者にとって、ソニーとは何を意味するのか?
3)
アップルストアではなく、ソニーの商品を買うために家電量店に顧客の足を向かわせるにはどうすればいいのか?
4)
もしソニーが栄光を取り戻すことができたら、新しい黄金時代はどのようなものになるか?

まだ道半ばに過ぎない。
ビジネスの成功にはビジョン、リーダーシップが必要である。イノベーションを起こすにはひらめきとエンパワーメントの文化が必要である。

かつて、ソニーは、盛田さんのカリスマの元で"自由闊達"を意味していた。この文化をソニーは取り戻せるかどうか? この文化革命に復活はかかっているだろう。