2016年11月10日木曜日

契約理論とリアルオプション理論


今年は、Oliver HartBengt Holmstromが「契約理論に関する研究」でノーベル経済学賞を受賞した。
池田信夫氏の説明は分かりやすい

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51985529.html




自分も契約理論は大学院時代の研究テーマでもあり、修士論文もこのテーマで書いたので思い入れがあります。この契約理論は今研究のリアルオプション理論とどう関係するのか?

契約理論のエッセンスは、
企業は不確実性に満ちており、契約は不完備であり、残余コントロール権、所有権を持つ主体がいて、効率化することができる、という点だ。企業の本質的な存在意義を示している。全ての事象が確実あれば全てを条件付き契約の束として表現することが可能だが、不完備であればそれができない。そこにはそのリスクをとる主体が必要になる。

一方で、これは国の倒産法にも違いがあるものの、この残余コントロール権はいわばオプションでもあり、その価値がマイナスの場合は放棄することができる。

つまり、企業の本質はリアルオプションの集合であり、企業家はその残余財産を請求してリアルオプションを行使する主体ともいえます。

定式化すると、企業から生み出されるキャッシュフローの現在価値をVとすると、負債をDして、
V-D V>D
0 V<D

これは別の表現では、
時間や資金調達リスクをとって、リターンを得ようとする主体が必要ということを意味しています。

そういう意味では、契約理論はリアルオプション理論で定式化できると思うし、その方が実は分かりやすい面がある。
 

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