2016年4月30日土曜日

サステナブル投資の主流化に向けた潮流と今後


PwCがサステナブル投資のカンファレンスを企画するとともに、サステナブル投資に関するレポートを発行しています。

参考になる点としては、
投資家はESGを収益機会というよりもリスクの低減要因として捉えている点

投資家は、財務面でリスクと機会がどのように明確化・定量化されているのか不満を持っている点

が挙げられます。

もう少し翻訳すると、
投資家としては、一般的な気候変動が将来のビジネスに影響を与えること、その重要性は理解していますが、

では、気候変動が御社のビジネス、ビジネスモデルにどのように関係して、それが将来どのような影響(リスク+収益機会)を与えるのか?  それに対して現在どのように対応しているのかをもっと明確にしてほしいというメッセージのようです。

キーワードはconnectivity、財務と非財務の関係性とその定量化ということになります。IIRCの統合報告で「統合思考」が謳われていますが、投資家目線では実際のハードルはなかなか高いということでしょうか?
http://www.pwc.com/jp/ja/japan-seminar/2016/assets/pdf/sustainability-investment160526.pdf

2016年4月29日金曜日

インパクト投資のカンファレンスのご紹介


面白そうなカンファレンスがあるのでご紹介します。
PwC
さんと日本財団さんの共催のようです。

責任投資、持続可能性投資、インパクト投資、言葉づかいはいろいろです。今回はサステナルブル投資が使われています。

このサステナルブル投資が盛り上がることで、日本財団さん、PwCさんにどういうメリットがあるか考えてみるといいでしょう
http://www.pwc.com/jp/ja/japan-seminar/2016/assets/pdf/sustainability-investment160526.pdf

2016年4月27日水曜日

ソーシャルインパクトボンドに関する国会質疑


2016425日(月)参議院決算委員会で公明党の矢倉議員がSIBに関する質疑を行いました。

 2:42:063:06:06

第一印象、国会議員なのにずいぶんSIBに関して詳しいなーというのが印象。それに対して、当たり前ですが麻生大臣は全然詳しくない(笑)

社会課題の成果の定量化、基準作りがまず重要という最初の共通理解は得られた感じです。

SIBで政府予算を民間資金が肩代わりして財政再建に役立つという部分があまり強調されてしまうとその部分は幻想に終わるでしょうね。

官民連携の取り組みをどういう方向に進化させていくべきなのか、その方向性を持つことが非常に重要だし、意味があると感じました。
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=3620&type=recorded

マイケル・ポーターのCSVが今一つ信用できない理由?


マイケル・ポーターのCSVをもう少し深掘りするために、tedを見てみました。

簡単に要約すると、
NGO
が社会的課題の解決を図ろうと頑張っているが、なかなかスケールしない。

スケールしない理由はリソースが足りないから。

ビジネスセクターはNGO、政府と比較しても圧倒的にリソースがある。

ビジネスセクターがリソースがあるのはニーズに応えて利益(Profit)を生み出すから。

ビジネスセクターが社会課題の解決を利益(Profit)を生み出しながらやればスケールすることができる。

その大前提は社会課題の解決と経済価値の創出がトレードオフではないこと。

最後の、社会課題の解決と経済価値の創出にトレードオフではないというのはかなり楽観的すぎるでしょう。経営学の大家だからこそ許される安直な断定と言えるでしょう。これを大前提とすることが、CSVに対する批判や否定、NPOセクターからの反発、ビジネスセクターからも受け入れられない原因でしょう。

皆様はどう思われるでしょうか? ぜひ、ご意見お聞かせください。
https://www.ted.com/talks/michael_porter_why_business_can_be_good_at_solving_social_problems?language=ja

2016年4月25日月曜日

マイケル・ポーターがお手上げなほど、社会的価値の定量化は本当に難しいの?


マイケル・ポーターも社会的価値の見える化、定量化が難しいと考えていて、「もしも指標化できればノーベル賞ものだ」と述べている。

これに関しては、私は以下のモデルで社会的価値の定量化は可能と考えています。

仮定1)企業の経済的価値と社会的価値を比較すると経済的価値の方が定量化しやすい

仮定2)経営の目的を経済的価値、社会的価値は経済的価値を高める手段とする後にモデルを拡張

仮定3)社会的価値への投資が将来の経済価値を高めるリアルオプション投資と考える

以下の前提のもとで、
企業の社会的価値への投資(リアルオプション的価値の創出)経済的価値(リスク or キャッシュフロー)と定式化されます。

このリアルオプションの大きさは、以下のソーシャルインパクト指数の要素に影響されます。この構成要素が大きいほど、このリアルオプションは大きいことがわかります。

社会的課題の深刻さ満期までの期間
投資対効果原資産価格、オプション行使価格
波及効果ボラテリティの大きさ
スピードオプション行使期間
基盤・持続性オプション行使期間

このように考えると、実は社会的価値の定量化はそれほど難しくありません。加えて、このモデルで、どうすれば社会的価値、および経済的価値を高められるかもわかるようになります。

当初モデルは経済的価値を目的、社会的価値を手段としましたが、それぞれが定量化されできれば、両方を目的関数として位置付けることもできます。

いかがでしょうか? この問題は難問で糸口を見つけるのが難しいですが、数学が本当にできる人にはそれほど難しくないかもです。

2016年4月24日日曜日

企業はESGパフォーマンスと財務パフォーマンスの両立をいかに実現していくか?-投資家にどういう投資機会を生み出すのか?

今、カンファレンスのテーマを練っています。ブルームバーグでやるので、それが機関投資家にとっても意味あるものであるためには、その両立は新しい投資機会、儲かる機会になる必要があります。
実際に企業としてこのESGパフォーマンスと財務パフォーマンスの両立をどう考えているかはまず知りたいことです。そもそもが両立が難しいものを両立することができる、そのためには大きなイノベーションが必要ですが、両立することで、投資家に、社会的リターンと経済的リターンの両方を得る機会を提供することができます。
具体的に、この両立が図られた企業にどこが思い浮かびますか?
ユニクロさん? 柳井さんがどう自社がCSV企業とHBRで主張しても、海外のオペレーションの実態を知っている人たちで、それを認めない人はたくさんいるでしょうね。
キリンさん? 復興ですごくお金は使いましたよね。CSV推進室もあるからCSV企業と認定していい?
企業でパネルで話してもらうにしても、自分たちでCSV企業だと自信を持って答えられる企業はどこでしょうね(笑)
そもそもが両立が難しいからESG要因のすべてでハイスコアを目指すというのがそもそも違うと考えるべきなのかな?
ご意見あれば是非教えてください。パネル企業も募集中ですので(笑)

ESGパフォーマンスと財務パフォーマンスの両立をどう実現するか?


HBRでロバート・エクレス氏がESGパフォーマンス「持続可能な指標」という論文 (2013.9)を出している。この中で、パフォーマンス・フロンティアという図表で、3000社の計量分析の結果、大きなイノベーションがない限りはこの両立が難しいと結論づけている。

そもそもが財務パフォーマンスとESGパフォーマンスはトレードオフがあるという前提に立つと、

企業に残された戦略は、
最も重要なESG要因、すなわち株主価値の創出にインパクトのある要因を戦略的に重視すること

かつ

そのテーマに関して、製品、プロセス、ビジネスモデルにおいて大きなイノベーションを実現することが求められる。

次の問いは、そのためにどういうコンピタンスが必要とされるのか?、どいう戦略が有効なのか?

ESG要因は短期的な数字の開示になりがちだが、両立を考えると、より長期的なイノベーション戦略になっていかざるを得ない。

伊藤邦雄氏の社外取締役の実力のほどは?


セブン&アイホールディングスの件で、伊藤邦雄氏に挙動に注目が集まったが、社外取締役も当然評価されることになる。

BloombergESGアナリストは伊藤邦雄氏は5社の独立取締役をつとめているが、投資家は4社以内を望んでいると述べている。

極め付けは、会計学の権威であるにもかかわらず、社外取締役を10年つとめていた曙ブレーキで不正会計が発覚したことだ。

この点から、BloombergESGアナリストは社外取締役の伊藤氏でも不十分な成果しか生み出していないと結論づけている。

2016年4月22日金曜日

ソーシャルインパクト・リサーチの会社の名前の由来は?


そもそもなんですけど、会社名をソーシャルインパクト・リサーチと言う名前をつけたのは、、、

VCIPOのための投資をたくさんやって、ある意味、お金儲けのためだけだったんで、

社会に懺悔の意味を込めて、

社会いいいこと、世の中にいいことを正しく価値付けして、そこにお金を回す仕組みを作りたいという思いでした。その根幹はリサーチかなと。

遠い未来の話かなと思ったり、実現は難しいかなという思いもあったり。

2010年の頃、ソーシャルインパクトボンド面白いよ、みたいな話しても、インテリの人でもわかる人ゼロでしたから。VCに長くいたので、どうしても頭がトレンドの少し先を走ってしまうんですね。

ようやく、日本財団さんのパイロットでソーシャルインパクトボンドの認知度も高まってきました。

ムヒカさん、日本で受けてますね。うちの妻も、うちの子供も4歳でもムヒカさん大好きですから。ムヒカさんが強いのは執着がないから、無私だから。私=世界。世界=私。

執着がある人間はその執着に足をすくわれる。インパクト投資のためのインパクト投資は世の中からすると無価値ですから。 そこは肝に銘じたいと思います。
と言うわけで、第2の戦略に取りかかるべきタイミングが来たな、と感じた次第です。

ESGのG(ガバナンス)はどう判断すべきか?


今回のセブン&アイホールディングの混迷はガバナンスを考える上では興味深い。

中興の祖 鈴木氏 VS 日本企業のガバナンス改革の急先鋒 伊藤邦雄氏 という構図。

ここで伊藤氏が話した言葉が興味深い。

「一番常識があるのは社外取締役だから。私の中にある人事案を会社が受け入れてくれるかですよ」

そう、社外取締役の判断基準は、所詮常識なんだよね。

経営には非常識な部分がある。そもそも24時間営業する、常識で考えたらセブンイレブンのビジネスが非常識だったから社外取締役がいたら却下されたかも(笑)

ガバナンスのKPIにはいろいろある。

社外取締役比率

独立取締役比率

女性取締役比率

女性役員比率

取締役年令幅

取締役平均年齢

取締役会出席率

監査委員会独立取締役比率

報酬委員会独立取締役比率 

ISSガバナンススコア 

ガバナンスのKPIは定量的ではあるが、どっちがいいのかはなかなか判断するは会社固有の事情や歴史的経緯もあるので難しい。
常識であって、短期の合理性しか有していない判断は実は多い。人間の限定合理性。ガバナンスを考える場合、その判断は常識であって、しかも長期の合理性を有しているかを考えるべきでしょう。いずれも結果は長期の歴史が証明してくれる。
https://www.7andi.com/dbps_data/_template_/_user_/_SITE_/localhost/_res/csr/pdf/2015_05.pdf

2016年4月21日木曜日

社会的企業のための新しい法人格は本当に必要なの?


経済産業省は「地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する研究会」で社会的企業の新しい法人格を検討する研究会の報告書を取りまとめました。

ざっと見た限り、結論が導かれたわけでも何か目立った提案があるわけでもありません。この議論は周期的に(4-5年)繰り返されるテーマになっています。

何で新しい法人格が必要なの? 法人格は制度なので、なぜ新しい制度が必要なのか?

ノーベル経済学賞のダグラス・ノースは『制度とはゲームのルールである』と定義しています。ですから、新しい法人格を作るということはゲームのルールの変更を意味しています。

社会的企業の新しい法人格を作ることで、他のプレーヤー(例:金融機関、寄附者)の信念や認識、インセンティブに影響を与えて、取引コストを低くする新しいゲームを設計できるかという問題になるわけです。

税制の変更をともなわないとするとかなり難易度が高いゲームであることがわかります。プレーヤーの明示された認識と共に、明示されていない認識の変更や経路依存性や歴史的経緯も伴うからです。

報告書の議論の中で、経済的価値と社会的価値の両方を追求するのがいいよねという方向性があります。この両方の価値を追求する場合の最適な器は日本ではどこになるのでしょうか? 企業? NPO?、社会的企業?

企業が社会的価値を追求する方向性と、NPOが経済的価値を追求するのではどちらが近道か?

このように考えていくと、結局これは法人格の問題ではないんですね。ある特殊なコンピタンスを持つごくごく一部の主体が両立に成功している。
ですから、新しい制度を作ることがある種のシグナリング効果は生み出すでしょうが、そもそも制度で対応しようとするのがナンセンスなんですね。
http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160420003/20160420003-1.pdf

2016年4月20日水曜日

統合報告書でマテリアリティマップが開示されない本当の理由は?



2015年の日本の統合報告書でマテリアリティの開示度が低い(全体の15%)。企業は力を入れているにもかかわらず、なぜ開示率が低いのか? その原因の1つはマテリアリティの概念自体の問題もある。

マテリアリティマップは、横軸に自社にとっての重要度、縦軸に社会にとっての重要度という観点からマップ化する。

しかしながら、果たしての、この2つは本当に独立なのかという疑問が湧いてくる。

社会にとって重要なことは自社にとっても重要ではないのか?
社会にとって重要であっても自社にとって重要でないことって一体何なのか?

これを、縦軸を自社にとっての強み、事業との関連性、自社にとってのビジネス機会と置き換えると整理しやすくなる。

社会にとっての重要度と自社の強みを定量化したのが弊社のソーシャルインパクト指数である。他に投資対効果、波及効果、スピード、基盤・持続性などインパクト要素を加味して、企業のCSRのそれぞれの取り組みを定量的に評価し、比較することができるようになる。

KPMGの統合報告書に関する調査2015


KPMGから日本企業の統合報告書に関する調査2015が公表された。2015年は統合報告書発行企業が205社と前年より65社増。企業の関心の高さが伺える。

ビジネスモデルの開示企業は44%とまあ高いが、ビジネスモデルの開示は企業によってレベルと質がバラバラ。高いレベルを求めると苦労するし時間もかかる。

あと、面白いのはマテリアリテイの結果の開示は15%と低い点。マテリアリテイ元年と言われるほど企業も力を入れたにもかかわらず、実際の開示率は低いという結果。このマテリアリテイ特定化の作業はやったが結果がうまくできないため開示を見送ったと考えるべきだろう。うまい方法論が見つかっていない点と本質的に矛盾を持つ考え方のため、実際にやろうとすると苦労するのがマテリアリテイ特定化である。

他にもいろいろとわかるので一読をお勧めします。私はKPIとインパクトの違いとその開示方法に注目しています。
http://www.kpmg.com/jp/ja/knowledge/article/integrated-reporting-article/documents/integrated-reporting-20160407.pdf

日本サステナブル投資白書2015

今回の白書は、日本でもサステナブル投資が大きく動き始めた、という感触が持ちつつあるようになっている。なぜESG投資が必要なのかという議論から、どのようにESG投資を実践するかに変わってきている。白書の中でも、いろいろなファイナンスソリューションが議論されている。
http://japansif.com/2015free.pdf

2016年4月17日日曜日

伊藤レポートは日本にとって有益か有害か?


2014年の夏に公表された伊藤レポートが今日のコーポレイトガバナンスをめぐる動きを加速させたことは事実である。

今回のセブン&アイホールディングスのお家騒動で、社外取締役の伊藤邦雄氏は反対票を投じており、まさに、自らガバナンスのあり方を示したものとなった。

伊藤レポートは当初金融セクターからは好意的に受け取られた。また、企業セクターからは目立った反対は出ず、概ねそのパラダイムを受け入れられた。果たして、このレポートは有益なのか有害なのか?

伊藤邦雄氏の主張をまとめると、
日本の経営者は資本コストに対する意識が欠けている
■ROE8%
は数字が一人歩きする覚悟で提唱
投資家の背後には1人ひとりの個人がいる
■ROE
経営をいかに全員経営に変えるかが重要
■ROE
向上のためにこそ、無形資産が重要となる
投資家との対話とは価値観の違いを乗り越えること
企業も投資家を選ぶ時代へ

 かつてソニーやパナソニックがEVA(経済的付加価値)を導入したが、財務主導の経営が重視され、近視眼的となり結果から見ると研究開発がおろそかにされて、競争力低下の一因となった。また、今回のレポートは株主、ROE重視であり、ESG経営とはまた別物である点ももう1つの論点としてある。

図は早稲田大学院の博士課程の先輩の伊藤さんがまとめた図

2016年4月14日木曜日

ESG(環境、社会、ガバナンス)評価とイノベーション能力の相反?


2015年のHBRの世界のCEOランキングが発表されている。
今回はランキングの計算方法を大幅に変えて、ESG(環境、社会、ガバナンス)評価も考慮するように変更された。

この結果、ランキング順位も大幅に変わっている。昨年トップだたアマゾンは87位に転落している。

この結果には改めて考えさせられる。

世の中ではESG評価が重要であると認識されつつある一方で、その結果、長期のイノベーション能力が犠牲になったらその評価基準は果たして正しいのだろうか?

そのESG評価(短期的、客観的)は持続可能性(長期的、主体的)を本当に評価できているのかという疑問である。

これは、クックパッド、セブンイレブンのガバナンス論争にも通じる話である。

星の王子さまの言葉:本当に大切なものは目には見えないんだよ。

フィンテックの本質はどこにあるのか?


フィンテックの投資額が国際的に20151兆円を超えたことが話題となっている。

東大の柳川先生は、フィンテックの本質を「ITによって異質な組み合わせが実現すること」と述べている。そして、それを実現する上でプラットフォーム戦略が有効と述べている。

金融業はもともと情報生産業であることを考えれば、フィンテックによって、情報生産プロセスと情報の質が劇的に変化する可能性があることに注目すべきある。

例えば、通常の銀行融資とクラウドファンディングを比較しても、そのプレーヤーの役割、集合知の活用の仕方が大きく異なる。

ただし、その結果、業界の勝ち組と負け組の構造が大きく変わる。銀行融資であれば情報の生産プロセスに地域性があり、多くの地場の金融機関も生き残ることができるが、プラットフォームとなると勝ち組はごく少数、残り大半は負け組になる可能性が生じる。

2016年4月13日水曜日

投資家もにんげんだもの


スチュワート・C・マイヤーズのコーポレート・ファイナンス()(下)はMBAのファイナンスの教科書の定番だ。この最後の章にファイナンスにおける未解決問題を10個整理している。おそらくこの未解決問題に明快な解答を出せればノーベル賞。その2番目は「リスクとリターン。見逃しているのは何か?」

この未解決問題には私は迷わずインパクトと答えたい(笑)。

19世紀はリターン。投資家はいかに儲かるかで投資を決めた。

20世紀はリスクとリターン。投資家はリスクを低くして儲けるかで投資を決めた。

21世紀はリスクとリターンにインパクトが加わる。別の言い方をすれば、投資の外部性の内部化ということである。

これをまた別の言葉で言い換えると、他者への思いやりということでもある。

行動経済学者のリチャード・セイラーが、相田みつをの「にんげんだもの」という言葉に行動経済学の本質が含まれていると述べている。

ファイナンス理論においても、投資家もにんげんだもの、伝統的なファイナンス理論とは全く異なる枠組みが求められている。
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2016年4月11日月曜日

社会課題の解決をテーマとする企業のIPOが目立つ


社会課題の解決をテーマにした事業を行う企業のIPOが目立ってきている。しかも、資金調達額は大型化している。

例えば、最近IPOした、障がい者の就労支援を手がけるLITALCO(6187)や首都圏を中心に保育所を運営するグローバルグループ(6187)


LITALICO
の資金吸収額は15億円と小さくないが初値は公募価格を8割超えた。また、グローバルグループは公募で36億円調達したが、初値は公募価格を6割上回った。

以前はVCも、このような政策依存、税金に依存する会社への投資、およびIPOには消極的な向きもあった。

しかしながら、社会課題は深刻化する一方で、ある意味で、民間向けビジネスよりも確実に需要が増えることが見込まれるわけで、投資家としても社会課題の解決を目指す企業に積極的な投資スタンスに転じている。

社会課題の解決を目指す企業が資本市場を利用することで、ある意味で、社会課題の解決に価値づけ、値段が付く点は興味深い。
http://litalico.co.jp/about/