2016年6月30日木曜日

SDGs取り組みの目的を再考してみると、、


SIRの熊沢です。
7
6日にワークショップをやるので、相変わらずSDGsについて研究しています。ここをつなげることが次世代のインパクト投資の突破口だという思いもあります。

面白い例がありました。

デンマークのNovozymes(ノボザイムズ)はSDGsへの独自の評価ツールを開発しました。

ユニークなのはビジネス機会スクリーニングのフュネナルの中に、SDGsへの貢献評価を位置付けた点とそのSDGsの評価を定量的にも捉えている点です。

SDGsを企業にとっての有用性を高める方法の1つは、それをビジネス機会、イノベーションニーズの発掘機会をとらえるチャネルとして位置付けることである。

その点で、ノボザイムズのこのアポローチは評価できる。

御社は、SDGsを従来のCSRの延長線上としてだけで捉えていないだろうか?そうであれば、もう一度、SDGsをビジネスチャンス、イノベーションのニーズを発掘する役割を見直す必要があるだろう

2016年6月28日火曜日

企業のSDGsの推進、成功のポイントは?


SIRの熊沢です。
SDGs
を企業がどう戦略的に統合していけるかを考えています。
https://peraichi.com/landing_pages/view/vcdku

ヒントを得るために、国連開発計画(UNDP)駐日代表の近藤氏の講演を聞いてきました。UNDPは民間企業の強みとUNDPの強みで、新しいビジネスモデルの創出により、商業利益と開発利益を両立を実現を支援すると説明していた。

商業利益と開発利益の両立は、ポーターのCSVと似た考え方です。ポーターのCSVが魅力的なコンセプトでありながら、あまり企業に広がりを見せないのはその実現が難しいからです。

実際、HBRのエクレス教授が3000社以上の調査の結果、財務パフォーマンスとESGパフォーマンスの両立は、大きなイノベーションを起こせないと難しいと結論づけています。

大きなイノベーションが起こせないと実際には実現が難しいことを企業に向かわせる誘引(インセンティブ)、モチベーションをどう維持できるかは、結局はSDGsでもかなりクリテイカルな問題になることが予想されます。これは、単に、成功事例を紹介するだけでは解決することは難しいからです。

他に、ヒントとししてはMDGsの際にゲイツ財団のポリオ撲滅活動の事例が紹介されました。このビジネスケースは、より洗練させた形でSDGsでも可能になると思います。

インパクトを生み出すためには、エビデンスベースの調査が重要となり、その際に、ランダム化対照実験によりインパクト評価・測定が重要になる。そのインパクトがしっかり生み出したことを示されたら、そこにセクターを超えた協働によりドライビングフォースが可能となるというシナリオです。

私が設定した、企業のSDGs成功のキーワードは、
イノベーション、両立の実現、エビデンスベース、インパクト評価(ランダム化対照実験による)、ビッグデータの活用、、セクターを超えた協働、エコシステム、アウトサイドイン、リソースベース(コンピタンス)、ファイナンスメカニズム、です。

企業のSDGsの推進、成功のためには、このキーワードを個別プロジェクトでどう結びつけてシナリオ設計していけるかがポイントになると考えています。

この辺りを知りたい方は是非、76日のワークショップにご参加ください。意見交換しましょう。

2016年6月27日月曜日

日経記事:社会派「B企業」の逆襲


本日の日経新聞に、
社会派「B企業」の逆襲、渋沢栄一に学ぶ新興国という特集記事があった。

B企業とは B corporationのことを意味している。
この冒頭で、デビッドブルナー氏が紹介されている。
彼はアライアンスフォーラム財団、原丈人さんのところで、
公益資本主義のレポート(東京財団)をまとめた人だ。懐かしすぎる。

会社の持続可能性、分配の公平性、事業の改良改善性、などの公益資本主義の基準を考えた。

この図は、政府の関与の大小を横軸、家族株式市場を縦軸にしているが、この軸の取り方は少しというか、だいぶおかしい。

私なら、事業における社会課題の解決の度合い(社会的なインパクト)を横軸に、利益創出可能性を縦軸にする。

社会課題の解決というテーマを元にしても利益を十分に出せるかどうかという観点の基準である。例えば、ユーグレナは第1象限(事業における社会課題の解決度合い:高い、利益創出可能性:高い)に位置するだろう。

SDGsのプロジェクトの評価基準においても有用なフレームワークになりそうだ。

2016年6月26日日曜日

これからの投資家が知っておくべきことは?


SIRの熊沢です。激動の相場環境ですね。このような状況下なので
少し、投資家の頭の整理をしたいと思います。

まず、私から提示するファクトは3つ。

ファクト
投資において、財務情報だけではなく、非財務情報(ESG情報)を組み合わせた方が超過リターンを得る確率を高めることができる

ファクト
過去数年間を見ると、非財務情報(ESG情報)の株価への影響度は高まっており、今後ますますその影響は高まっていくと予想される

ファクト
重要な非財務情報(ESG情報)は業種、セクターによって異なる。財務情報と非財務情報のパターンは様々で、セクターによってはESGスコアーが低い方が超過リターンが高いケースもあり(例:建設業)、単純にESGスコアや格付けが高い企業への投資戦略はうまく機能しない

このような3つのファクトがあるんですが、
問いかけですが、
どうして、非財務情報(ESG)を投資プロセスに組み込むことをしないんですか? 
どうして、それができないんですか? 
今後もこのまましなくても大丈夫ですか?

今すぐ、非財務情報(ESG)を投資の意思決定プロセスに組み込む必要はありますか?

Yes or N0

少し頭を整理すると、今後の投資戦略の展望が開けると思います。

ESG投資は一般に考えられている以上にビッグデータ解析そのものなんです。我々がシステムに組み込むESG要因も100因子以上はあるので、それを普通の頭で処理するのは無理なんです。単純な印象論だと確実に間違った意思決定になることはお忘れなく。

2016年6月23日木曜日

CIとミッションの関係性?

今月のWIREDの特集でいい会社、ビジネスとミッションは両立できる! B-Corp、鎌倉投信などが取り上げられています。
その中で、UBICも取り上げられています。実はこの会社、VCで売上1億円以下で投資して大儲けとなりました。当時は、防衛省出身の社長さんで、業務は、データーフォレンジック業務で訴訟関係に限定されていました。現在はAIカンパニーに進化した感じです。リタリコと組んで自殺予防のサービスも展開しようとしています。
ここ数年の業績を見ると、昔は利益率が非常に高かったのですが、現在は売上は拡大したものの利益率は非常に低くなっています。買収の影響でしょうか?
この会社のプレゼンを見ても、それほどのAIの実力は正直感じられません。
さて、今回の記事で面白かったのは、CIを導入して会社が変わりつつあるという話でした。
事業名をVDSからKIBIT(キビット)に変更したところ、非常に伝わりやすくなったので、ついでに企業名も2016年7月1日付で変更するそうです。
CIも意味はあるとは思いますが、ベンチャー企業の場合は、むしろミッションの方が重要でないかと思います。
ミッション、そこから派生する現在の製品サービス、将来の目指すべき製品サービス展開、それを伝えやすくするロゴやシンボル、オブジェクトとしてのCI。ミッションからCIが出るのであって、CIからミッションは生まれませんから。

ESG投資ダッシュボードの開発にあたっての思い

SIRの熊沢です。
今回は、そもそも、何故、私たちはESG投資ダッシュボードを開発したのか?について我々の考え、思いを述べてみたいと思います。
ソーシャルインパクト・リサーチは格付け会社ではない。格付け会社は企業はこうあるべきだという価値観を断定的に我々に押し付けてくる。多様な企業を画一的に捉えることを我々に強いてくる。我々はそんなことをしたくはない。そのことが価値あることだと思っていない。
我々はむしろ、企業の多様性を、投資家の多様性で解決しようとしているのだ。データ、アルゴリズム、AIを使うことで、投資家がそのような多様な企業を評価する上での意思決定の支援を推進するという位置付けなのだ。
企業のインパクト評価を、こちら側の断定的な価値観で評価可能にするのではなく、ビッグデータ、データ解析、それをアルゴリズム化することで解決しようというスタンスなのだ。従来の評価は多様性を画一的に還元することで評価可能にするというロジック。我々は多様性を多様性で対応する、そのためのアルゴリズムが肝なのだ。
企業は人間と一緒ではないかと思う。あなたはこういう人だと簡単に決めつけることができないように、企業も複雑でさまざまな面を持っているはずである。
私たちは、そんな企業を、財務、株価だけでなく、ESGというカテゴリーからも企業を「見る」ことができるようにしている。ただし、そのESGからの目線、切り口も、企業のごく一部しか示していないことは常に肝に命じたい。
企業をデータから見るということは、企業を総合的に理解できるとともに、企業に対する見方を限定しているとも言える。ESG項目(データ)が、ESGを見る上で全てではない。
財務や株価だけ評価しているだけではだめだ、そこで働く人やサプライチェーンが不幸になっていたり、たくさんの廃棄物を出していたり、環境破壊を起こしていたらだめだ、という思いからだと思う。社会や環境への影響という、ソーシャルインパクトを考えなくてはいけないという思いからである。
企業が持続可能であるためになすべきことは、きっと人間と一緒で「愛」を自身のみならず、周りに伝えられるようになっていければ、持続可能になるのではないかとおめでたく思っている。それを噛み砕いていけば、SDGsのような誰もが異論を唱えないようなテーマになるのかもしれない。

2016年6月22日水曜日

お知らせ

ソーシャルインパクト・リサーチで進めているESG投資レコメンデーションプロジェクトが、経産省のIoT人工知能先端プロジェクトに認定されて、資金提供いただくことになりました!https://iotlab.jp/common/pdf/160620_info.pdf

Trucostの価値はESGアナリストの価値?

SIRの熊沢です。お元気ですか?
先日、ブルームバーグのESG投資カンファレンスで、ドミ二の山口絵里さんに話してもらいました。
山口さんは、来月からニューヨーク州退職年金基金(New York State Common Retirement Fund)のCorporate Governance Officerとして、気候変動のリスク管理やESGの統合に従事するそうです。引き続き、ESGとインパクト投資は今後もアセットオーナー側から取り組み、日本に何らかの形で貢献したいと思っておりますのでよろしくお願いします、とご連絡いただきました。
ESG投資関連のアナリストは米国でも希少で流動性がとても高いようですね。
また、自然評価のリーデイングカンパニーであるTrucostが身売りの話が出ています。ここには自然資本関係の評価アナリストはたくさんいるので、その人材価値、知的資本価値を、おそらく金融資本系の会社が高く評価して買収するでしょう。このタイミングで売却というのが会社の売りということではグッドタイミングでしょう。現在のESGアナリストの希少性がTrucostの買収価格をつり上げるからです。
まだ、日本にはこのような流れは生まれてませんね。

2016年6月21日火曜日

SDGs先進企業、味の素様を訪問

SIRの熊沢です。おはようございます。
私は、76日に開催するSDGsワークショップの準備をしています。
昨日は、講演者の、味の素の中尾さんとmeetingしてきました。
味の素さんは、SDGsの前のMDGSで様々な取り組みをされてきました。その辺りのご経験を話してくださるとのことなので、企業様にはご参考になるのではないかと思います。
そもそもSDGsに取り組むことは企業にどういうメリットがあるのか? どういう意味があるのか? まずはそこをクリアーしないと先には進めません。
味の素さんはSDGsの中期計画への組み込みを進めています。この方法も企業様には参考になると思います。
味の素さんは報告書の作成レベルは非常に高いのですが、一点、味の素さんも、マテリアリティの特定は、縦軸に社会にとっての重要度、横軸は事業にとっての重要度を取る、よく企業さんが出されているマップを出されています。
私はSDGsではこのマップを進化できるのではないかと考えています。考えがまとまったら発表しますね。我々のスタンスとはCSRを投資にしようというものです。投資であれば何が必要か? 
皆様はSDGsの取り組みはどこまで進んでいらっしゃいますか?

2016年6月20日月曜日

ESG情報のビッグデータ解析 ESG情報はノイズか?宝の山か?

SIRの熊沢です。週末はいかがお過ごしですか?
私は4歳の子供とずっと遊んでいました。子供遊ぶのもなかなか大変なので、保育園の先生たちの給料は大学の先生よりも高くてもいいと私は思います(笑)。
さて、今日、環境経営学会のコアメンバーの人たち向けにプレゼンテーションをします。
今回の私のプレゼンテーマは、
ESG情報のビッグデータ解析からの投資戦略 ESG情報はゴミ(ノイズ)か、それともシグナル(宝の山)か?」です。
ESG情報は宝の山であるのに実はそれを見逃されているというのが結論です。それは何故?
ESG情報に関して様々な憶測、迷信がまだまだまかり通っています。まずは、この迷信をデータ解析によって打ち砕きます。そのためには実験フレームワークを用意する必要があります。これはSIRが開発したESG投資統合ダッシュボードで5分で行うことができます。このプレゼンは機関投資家には100万円以上の価値があると自負していますので、時代が追いつくまでは非公開とします(笑)。
環境経営学会はESG投資に関して深く研究しているマニアックな人たちが多い集まりなので、議論できるのがすごく楽しみです!(_;)

2016年6月19日日曜日

非財務の保証はどこまで可能か?

SIRの熊沢です。
日本評論社から出版されている、持続可能性とイノベーションの統合報告という本があります。越智教授が書かれた本で、いろいろな学会賞をとりました。直接お話し聞く機会を頂いたので、早速購入してみました。
普通の経済本は目次をざっとみれば大体わかるんですけど、
この本はレベルが高くて、目次だけではよくわからないです。
興味を引いたのは、CSR問題を企業とNPOのゲーム理論で説明している点、PBR1倍以下の負のインタンジブルによる考察、非財務情報(ESG)の保証・信頼性付与に関する考察です。
非財務情報(ESG)の保証・信頼性付与は学術的にも最先端分野です。
フォルクワーゲンや三菱自動車、スズキの偽装問題もあり、非財務情報の保証は今後もっと包括的な議論がされていくと思います。三菱自動車のケースでは、現在はユーザーに対して10万円の保証ということで話が進んでいますが、本来は株主に対する代表訴訟、監査法人に対する損害賠償にも発展する話だと思います。
監査法人は財務的な監査なので非財務は監査対象外と言っていいのか? 非財務が結局な財務に影響を与えるという観点に立てば、非財務は財務の問題に包括されるとも考えらるので監査対象となりうるのではないか? etc
監査法人は非財務分野の保証も業務拡大のチャンスとして捉える一方で、実際のインパクトの評価、保証はとても無理なので、一定の手続きを踏んで監査したというプロセス監査に限定して提供していく方針などもあります。

2016年6月18日土曜日

経営者の通信簿

今月のハーバードビジネスレビューで、LIXILグループの藤森さんのインタビューが掲載されています。LIXIL経営の5年間から変革を語るというテーマです。自分ではこの5年間の経営に合格点をあげているようですが、
経営の常識からすると、落第点です(笑)自分に甘いのか、それともポジショントークか?
2012年頃、LIXILのコンサルしていたことあるんですが、社員の人たちは士気が低かったです。基本路線はリストラ&M&Aですから。この時から藤森さんの経営には疑問を持っていました。
次は、工具通販大手のMonotaRO(モノタロウ)会長の瀬戸欣哉氏(55)が社長に就任します。ベンチャーキャピタ時代から瀬戸さんを見てますが、すごく勝負強いので、LIXILをどう変えるかが私は本当に楽しみにしています。オススメの本とからも行動経済学の面白い本を推薦してくれます。
これは瀬戸社長の書評です
なぜこの店で買ってしまうのか、パコ・アンダーヒル著(私の本棚)
 顧客の活動を観察し、理想的な店舗作りを進めるアドバイザーによる行動経済学の本だ。入店時から顧客の行動をビデオにとり、買い物かごをどう置くか、どんな順番に商品を並べるかなど、全データを積み重ねて実証的に結論を出す大事さが語られる。こうしたことは現場の責任者が判断しがちだが、客の目線からみて問題が生じていることもある。この本を読んで、ウェブサイトの改善などに使う「ABテスト」の重要さを改めて痛感した。
こういう経営センスの方が今後の世界ではうまくいくと私は確信しています。
この本を藤森さんが手にとって読むことはないでしょう。購買に心理がどう影響を与えているのか、それをABテストで優れた方を残していくか、ネット業界では既に常識ですが、一般の企業ではまだ常識にはなっていません。
藤森さんはGEという土俵に乗た上での経営であったのに対して、瀬戸さんは住友商事のバックを受けていたとはいえ、0からのスタートでベンチャー企業を大成功させました。モノタロウという会社は、海外の投資家からもすごく評価が高いです。

2016年6月17日金曜日

6月3日bloombergセミナーの反響

63日のbloombergで講演させてもらいましたが、その講演の反響が未だにすごくです。Bloombergの担当者に機関投資家から私のプレゼン資料を送ってほしいという話がすごく多くて対応が大変とこぼしていました。
正直、私の資料の中でヒントを与えすぎてしまったかなという後悔の念もありますが、ESG投資業界の健全な発展のためにまあ良しとしましょう。
私が言いたいのは、
もっとESGデータを生かしてくださいとうことです。データの活かし方をもっと創造的に考えてくださいとうことです。
日本でESG投資のデータ解析ができる人がほとんどいません。大手証券会社の研究者のプレゼン資料を見ると小学生レベルです。データ処理の仕方を間違っているので(笑)この間の大和のレベルは酷かったなー。証券アナリストはいくらでもいますが、環境分野の修士レベルの知識も両方持ちあわせている人はほとんどいないです。ここがデータを活かせない根本原因の1つです。Bloomber社でもグローバルで数人レベルです。割によくわかっている人が1人いたんですが、4月からenergy セクターに移動になってました。ESGよりエネルギーの方がお金が動くみたいです(笑)。
また、投資業界のデータ解析のシステムが実はあまり高くないという不都合な真実もあります。すごく昔のシステムで古い言語使っているケースもまだあります。実は1億円で作った資産ポートフォリオ最適化システムを、新しくpythonで作ったら私は20万円で作れるんですけど、みたいな話が多すぎです(笑)
ビッグデータ革命時代の新常識は、
サンクコスト(埋没コスト)に囚われたら、自分が化石恐竜化するぞ、ということです。
インパクト評価もビッグデータで活用を図るというのが弊社の目指すスタンスです。この分野のデータ革命も後2-3年で世の中を変えるほどのインパクトをもたらすでしょう。

2016年6月16日木曜日

今度、SDGsに関するワークショップをやります。


このワークショップは贅沢すぎました(笑)正直大赤字になります。

もともとは60名規模のカンファレンスを予定してましたが、基調公演の東大の北村准教授がワークショップを取り入れたいということでしたので、人数を25名になりました。
それに、伊藤園さんと味の素さんの講演がつきます。

私も、企業の持続可能性を実現するデータ活用戦略に関して講演したかったですが、今回は時間の都合でカットしました。

ということで、まだ23席ありますので、ご興味ある方は申し込みください。
https://www.dropbox.com/s/9d0uo8oas6an3rg/flyer.pdf?dl=0

SDGsの発想とは?

東大の先生とSDGsについて意見交換してきました。
その先生が御指摘したのがインサイドアウトのアプローチと、アウトサイドインアプローチの違いです。
従来のCSRの発想は組織の中から、できること、やりたいことを探すインサイドアプローチでした。
これに対して、SDGsの発想は、地球、世界が持続的に発展、成長できるために必要なことを、組織でどのようにアプローチ、解決できるかを考えるアウトサイドインの発想をとります。
より創発的な発想、組織内外の知識の連携性、セクターを超えた協働、より大きなシステムとして捉える必要性があるでしょう。
この2つのアプローチの違いによって組織にどのような違いが生まれるかを考えてみるといいでしょう。

2016年6月14日火曜日

social impact dayに参加

今日はsocial impact dayに参加した。セミナーで4時間時間を取られるのは厳しいが、感じたことをまとめてみる。
私の場合2010年にVCを引退して、会社を設立した。社会的なインパクトを通貨にをキャッチフレーズに、ソーシャルインパクト・リサーチを設立した。この名前はすごく気に入っています。この5年あまりのソーシャルセクターの大きなうねりを見事に表すことができたのだから。
現在は、ソーシャルインパクト評価バブルの様相だ。自戒も含めて、インパクト評価はソーシャルセクターのインテリが興味を持ちやすい、いわばソーシャルインテリのおもちゃだ。評価というものは自己満足だけにとどまればいいが、他の人への外部性を有している点が厄介である。
ソーシャルセクターの人はナイーブだなと感じることが多い。目に見えないものが見えるようになる、数字で表せないものが定量化できる、比較可能になることに嬉々として目を輝かせる。
果たして、インパクト評価が広がることは日本社会に進化をもたらすか、それとも停滞をもたらすのか?
実は、社会的評価を実装した失敗例は枚挙にいとまがない。例えば、日本の偏差値教育教育だ。これは、比較可能性とともに画一性をもたらし、明らかに社会的な停滞をもたらした。
企業でも評価基準を入れた結果大失敗した例はたくさんある。ソニーEVA。最近では伊藤レポートの ROE8%もすでに失敗だ。
評価指標のマイナスは、多様性が失われる、イノベーションが起こしにくくなる、画一化を促す。新しいものが試しにくくなる。
社会的なインパクトを見える化すればお金が付いてくると単純に考えるのもあまりにナイーブだ。英国のソーシャルストックエクスチェンジは、インパクトを可視化してもお金全然集まっていないし、機能していない。
私の考えでは、ソーシャルセクターはミッションが第1、インパクトが第3ぐらいの位置付けがちょうどいい。様々な社会課題を当事者として直面した社会起業家が、その課題を解決したいという思いがミッションであり、第1。第3者の外野の評価は第3ぐらいの位置付けがいい。これが逆に、インパクトが第1、ミッションが第2になったら、日本のソーシャルセクターの健全な成長は到底望めないだろう。
VC業界でも評価する側が強くなりすぎると、新しいイノベーションの芽が生まれにくくなる傾向がある。当事者と外野の見える景色は本当に全然違うものなのだ。ソーシャルセクターで事業をやっても2-3年先は全くわからないのだから。
大切なものは目に見えな大切なものは目に見えない。この 星の王子様の言葉を我々は胸に刻もう。

SDGSを企業戦略に統合するには?

ワークは3問を考えてもらった。
あなたの会社にとっての持続可能な発展、成長とは何か?
企業は何故、持続可能性を考えていく必要があるのか? その理由と自社の存在意義(自分たちが何者で何のために存在しているのか)とどう関係しているのか?
SDGs17テーマの中で、会社の将来を最も左右すると思うものはどれか? その影響をロジック図で示すことはできますか?
企業は目的志向が強くなりすぎたり、うちとそとを区別するようになると、他のステークホルダーに皺寄せをするアンチソーシャルになりやすいので注意が必要だ。
企業はSDGsをどうCSRに取り込むのか、企業戦略に取り込もうかをまだ考えあぐねている感じではある。スタートは欧州企業、日本企業も同じなのだが、マテリアリティとの紐付け方や開示方法など欧州企業の方が進んでいる印象。エリクソンがやっていたような、ICT&SDGsのようなテーマレポートや、17SDGsのテーマの担当役員をアンバサダーとして顔入りで紹介するなどの方法は注目されると思うので、日本企業も早いもの勝ちなので是非やってほしい。
企業の人も、ソーシャルセクターのインパクト評価手法をワークショップで教えたら役に立つと思う。インプット、活動、アウトプット、アウトカム、インパクトの流れをロジックモデル整理し、KPIを設定する方法は学んで欲しい。自分たちのSDGsの取り組みがあった場合となかった場合で世の中がどれくらい変わるかでインパクトを測定する。
17テーマのどこを重点するのか、マテリアリティを設定する具体的な法論、プロセスが求められている。また、CSRの担当者だけでは決められる部分があるので、それを企業でオーソライズする方法もプロセスも必要だ。
例えば、重要度の判定方法として、その17のテーマの目標が達成できなかったら、自社にどのような影響があるかをシナリオ分析する方法が考えられる。その場合に、ダイレクトに、テーマ自社ではなく、テーマが実現しない場合、業界がどうなるのか?、その結果自社がどうなるのかという業界をワンクッション入れた方がわかりやすくなる。