2016年9月28日水曜日

ESG投資ダッシュボードのデモ


SIRの熊沢です。
当社で展示会出展の準備をしていて、ESGダッシュボードのデモを当社のESGアナリストが動画でまとめましたのでご参考ください。
https://www.dropbox.com/s/q4gdbuwphauv…/20160927_234807.mp4…

思うのは、このダッシュボードシステムのwithwithoutの差です。

このダッシュボードがあった場合となかった場合で、投資家のESG投資の日常がどう変わるか? です。

もし、このシステムがなかったら、企業の財務とESGを統合して評価することが難しいでしょう。

もし、このシステムがなかったら、セクターで、ESGが投資が有効かどうかをデータで判別することは難しいでしょう。

もし、このシステムがなかったら、あるセクターの中で、ESGの中で何が超過リターンに効いているかをデータで見つけることは難しいでしょう、、、、

この差がこのシステムの本当の価値になります。

2016年9月22日木曜日

隠れたESG要因が株価に反映するプロセスは?


上場企業に関するネット上での書き込みが、株価を大きく動かすケースが見られる。最近では、PCデポのケースです。。

そのプロセスをまとめると、
あるイベントが発生し、隠されたESG課題が顕在化し、そのESG課題が将来の財務問題となると多くの投資家が考え方をシフトさせる。結果として、株価を大きく動かす。

そのイベントが顕在化するのに、社会通念に影響を与える上で、ネット、ネット上の書き込みが大きな役割を果たしている。

図は、ネット上での上場企業の書き込み数が多いかどうか次に、それがポジテイブなものか、ネガテイブなものかどうかで、企業の1かヶ月の株価変化率を見たものです。

ネットの書き込みが多く、かつ書き込み内容がポジテイブであった企業群18社の1か月の投資パフォーマンスは39.58%、ネガテイブは12社で投資パフォーマンスは-21%でした。

ネット上の書き込みが多いことは、その企業のボラテリティを高めることがわかります。ボラテリティは株価の最も重要な決定要因であるかつ、ネット上の書き込みが株価変動に先行しています。そういう意味で、ネット上の書き込みは投資のおける非常に重要な情報になることがわかりました。

2016年9月21日水曜日

GPIFのエンゲージメント推進は?


今週の日経ヴィリタスに、GPIFの高橋理事長のインタビュー記事が掲載されている。

現在、GPIFは運用会社に日本版スチュワードシップコードの実行を強力に推進している。この7月にも担当者を7名増員、今後、GPIFはこのスチュワードシップコードの審査項目の開示、委託する運用資産に差をつけることを考えている。

この前提として、
運用会社が企業と対話することが年金受託者にとっても利益になるという前提に立つ。

この裏には、運用会社のエンゲージメントの推進がパフォーマンスを高めるという大前提である。

運用会社の立場は、
GPIF
は対話しろ、対話しろと言うものの、、、
組織体制的には、スチュワードシップ担当者、担当部署を持っている。そして、組織的に企業とエンゲージメント、対話をしようとはしている。

エンゲージメントの推進が、実際に、運用会社のどれほどの実をもたらすかはまだ未知数だ。そもそもパッシプの場合、エンゲージメントに要するコストに見合うのか、その効果がはあるのかなど懐疑的な見方もある。

もう一度、あるべき論ではなく、そもそも大前提が成り立つのか?運用会社のパフォーマンスを高めるエンゲージメントとはどのようなものなのか? 高めないエンゲージメントとの違いは何か? その条件、インパクトは何かをもう一度考える直す必要があるだろう。

企業側からすると、運用会社はエンゲージメントを推進しても、依然として、運用会社は短期的な視点でしか企業を見ていない、ステレオタイプの質問が多いという批判が強い

少なくとも、企業側に評価されない運用会社のエンゲージメント推進活動は実質的な変化を生み出さないので、活動だけに終わりパフォーマンスにつながる望みは薄いように思う。

2016年9月20日火曜日

テキストマイニングを活用した株価予測

SIRの熊沢です。
非財務情報を利用した株価予測の中で、テキストマイニングはまだまだ活用余地があります。
図はPCデポのケースです。
twitterのつぶやきを見ると823日に非常に多くつぶやかれています。テレビで取り上げられた影響でしょう。
また、つぶやきの感情分析ではほとんどがネガティブなものでした。
1 ソーシャルメディア、ネットである企業が評判になる2株式の取引量が変化する3 株価が調整する
このような突発的なイベントのモニタリングシステムはpythonのスクレーピングで簡単に作れます。ご関心のある方はお問い合わせください。

2016年9月16日金曜日

政府の株式市場のマッチポンプはうまくいくのか?


GPIFCIO、水野弘道氏が国連責任投資原則(PRI)の理事に立候補しています。

水野氏のGPIFの運用者とししてのキャリア、能力に関しては賛否が分かれる。

 マイナス評価としては、GPIFの株の運用比率を高めた結果、2015年度は53098億円の巨額損失が生じた。また、結果論ではなく、リスク資産のウェートを高める変更を行う上で、国民の合意、理解を得るプロセスが必要だったという批判も強い。

客観的に見て水野氏の経歴、トラックレコード、コラーキャピタル、PEのパートナーと言っても、上場銘柄の運用戦略に長けているわけではない。オルタナティブアセットの運用担当であればいいのだが、GPIFの全体の資産運用という点では能力的、トラックレコードに足りない部分がある。

現政権が日銀、GPIFのような政府関係機関を通じて、政権の実績作りのためのマッチポンプとして、日銀、GPIFETF資産を買い上げ、株価維持、株価を上げることを試みている。

なおさら国民に対するaccuntabilityが求められるだろう。水野氏がPRIの理事になってもならなくても、GPIFESG推進は進んでいくだろう。

2016年9月15日木曜日

超過リターンを最適化するESGの比率は?

 
SIRの熊沢です。
SG
投資の目的は超過リターンを得るため? それとも超過リターンとともに社会的利益を得ることも目的に含まるのか? この哲学的問いは置いておいて、

仮に、ESG投資の目的を超過リターンを得るためとし、
超過リターンを最適にするESGの比率(合計=100%)がどうなるかを機械学習で学ばせてみました。

この問いに答えられる人はいないと思います。
実験の結果わかったことは、、、

全業種では環境が90%、ガバナンスが10%、社会が0%の重み付けが超過リターンを最適になります。

逆に、建設業では環境5%、社会が95%の重み付けが超過リターン最適となった。

この結果がESG投資に関して何を意味しているかはわかりますでしょうか? ESG投資に関してものすごく重要な情報を含んでいることがわかりますでしょうか?

企業が財務とESGパフォーマンスの両立は基本的にはトレードオフがあります。その中でうまくトレードオンできるのはイノベーションを起こすことができる企業になります。このイノベーションとESGの中で一番関係するのはE(環境)になります。この考察は、今度学会で論文発表するつもりです。
 




2016年9月13日火曜日

ESG投資の目的は?


昨日は、TRMAさん主催でESG投資セミナーが開催され、年金シニアプラン総合研究機構の三木さんとMSCI鷹羽さんのお話を伺う機会がありました。

このテーマでいつも出る議論としては、ESG投資の目的です。超過リターンを得るための手段と位置付けるか? それとも社会的利益もそれ自体を目的とすべきなのかどうか?

GPIFの年度計画の中でも、収益確保のためにESGを位置付ける記載がありますが、三木さんはその点を批判されていました。それではPRI署名機関としての説明責任を果たせない。社会的利益を目指すユニバーサルオーナーとして行動すべきとの意見です。

MSCIさんは投資家向けサービスなので、ESG投資ポートフォリオで超過リターンを得られたデータを提示していました。ESGティルト戦略(ESGスコアが高い銘柄)とESGモメンタム戦略(ESGスコアの改善率が高い銘柄)両方で超過リターンを得るデータを示していましたが、、

データ解析的には、ESGシングルファクターでの説明モデルでは私からするとそれでは証明になっていないです。3ファクターモデルか、5ファクターモデルの残差をESGファクターで説明できるかどうかで示すべきです。

まあ、この辺りと、アベノミクスの効果検証も、MSCI JAPAN構成銘柄のROE改善効果で評価するあたりが金融リテラシーがだいぶ低いなと感じさせました。

なとなくモヤモヤしたセミナーでした

2016年9月12日月曜日

プラットフォーム企業と株価形成メカニズムについて


今月のハーバードビジネスレビューはプラットフォーム特集です。一橋ビジネスレビューでもプラットフォームについての論文が出てます。

米国で時価総額上位企業は、アップル、グーグル(アルファベット)、FB、アマゾンなど、プラットフォーム型企業が独占しています。新興企業の中でも、ウーバー、エアビーアンドビーなど、新しい分野でプラットフォームビジネスを展開する企業が急成長しています。

日本でも上場して株価を急増させた企業にはプラットフォーム型企業が多く含まれています。MonotaRO、エムスリー、ネクスト、スタートトゥデイ、DeNA、グリー、ミクシイ、カカクコム、クックパッドなど。新たな分野ではランサーズ、メリカリなどもあります。

一方で、AOL、ニフティ、楽天もプラットフォーム型企業でしたが現在は、、、

プラットフォーム型企業は・従来の経済理論では説明できない部分があり、
・経営資源を持たないマッチング型が多く物理的制約条件が少ない
・ネットワーク外部性によってひとり勝ちになりやすい
・信用創造メカニズムを内包している
・多様な収益源を得ることができる
・好循環メカニズムが働く

反対に、2つのグループで1つのグループが不活性化すると、もう1つのグループの不活性化が進む、急速に悪循環が進むようです。

このプラットフォーム型企業の株価形成メカニズムについて、リアルオプション理論をベースにまとめたいと思っています。

プラットフォーム企業の本質は、新たな信用創造メカニズムを作り出すことで取引コストを大幅に削減できる点がポイントではないかと思います。

2016年9月9日金曜日

JICA のソーシャルボンドが人気の理由は?

現在、JICA債が機関投資家の間で人気になっています。。350億円の倍以上の応募があったそうです

http://www.jica.go.jp/press/2016/20160902_01.html


本質的にはいつものJICA債と変わらず、利回りも魅力があるわけではありません。なぜででしょうか?

今回は、既存の JICA債を、ソーシャルという包みにして、ソーシャルボンドという打ち出し方をしています。

これは、ほとんどマーケティングの勝利です。

現在の機関投資家がESG投資を積極的にしたいというニーズがありますが、うまい投資対象が見つけられないという現状があります。生保、損保に人気が出ました。そこにうまくヒットしたようです。また、マイナス金利で運用先がないことも背景としてあると思われます。

国際資本市場協会がグリーンウオッシュを防止するために、グリーンボンド原則を公表して、その付け足して、ソーシャルボンドを定義しているだけなんですが、JICAはその要件を満たしているので、国内初のソーシャルボンドだとマーケテイングしています。

日本総研の外部レビューも入れています。

このようなトレンド(期間投資家のESG投資ニーズ)を利用するために、企業もソーシャルに目的を限定したソーシャルボンドを発行することができるのではないかと思います。

2016年9月8日木曜日

企業スペシフィックなESGファクターの捉え方は?

SIRの熊沢です。
昨日は、機関投資家さんとのmeeeingの中でPCデポをテーマに挙げました。
PCデボさんはネット上で高齢者のサポートサービスの高額課金、サービス解約金の高さがリアルでも話題になり、株価が半分になりました。
これまでPCデポは強いビジネスモデルということでアナリスト、ファンドマネジャーの人気銘柄でした。
このような個別企業のビジネスモデルに基づくスペシフィックなESGファクターをどのように把握して投資に活かすべきか?というのが議論のテーマでした。
ソーシャルゲーム業界でもガチャコンの未成年への高額課金が話題になり、業界が自主規制し、潜在成長率が屈折したケースもありました。
今は、ポケモンGOは人気ですが、ゲーム中の運転手が仮に園児に突っ込んで死者が多数出たら、世間はこのゲーム、ゲームの遊び方を許容するでしょうか?
インプライドされていないESGリスクは顕在化すると、インプライドされていないだけに株価調整は大幅なものとなります
ESGファクターも、将来の財務に影響する、影響するという予想の元では財務ファクターになります。PCデポも現在の解約率は低いそうですが、今後の新規獲得が難しいのであれば、この株価下落は一時的なものではなくなります。
大きなリスクは強みと裏腹にあるので、発生確率が低くても、強みの反対にあるそのようなESGリスクファクターには注意すべきです。
PCデポであれば高齢者に対して安定的な収益が続くのが強みですので、その強みが失われる事態が生じるのが大きなリスクになります。過失系統樹を作りESGファクターと結びつけるのが有効と思います。
 

2016年9月7日水曜日

ESG情報の価値は?


SIRの熊沢です。先日、東海東京証券さん主催で、ESG投資のセミナーを行いました。テーマはデータ解析に基づかないESG投資は失敗する、です。

その後、機関投資家さんとのone to onemeetingをこなしています。大手さんもすごくこのESG投資テーマには興味を持っていて、ファンドマネジャー、アナリストなど15名参加とか、講演みたいになっています。

ただし、議論していてまだ理解が不十分だな〜と感じることもあります。

例えば、ESG情報を活用しても儲かるかどうかがわからないから活用できない、という意見がありますが、、

あるセクターにおいてそのESG情報が財務情報とトレードオフがあり、それが一貫した傾向があるのであればその情報は、投資戦略に活かせる情報としての価値があるわけです。

決定木によってESG情報の完全情報の価値を計算してみるといいのではないでしょうか? 情報の価値は意思決定が変わる、今の意思決定の確信度合いが高まると価値があります。

2016年9月6日火曜日

省エネ学会発表


SIRの熊沢です。
今日は、学会発表です。金融ではなくて省エネ学会ですが。
テーマは、人工知能(AI)アルゴリズムを用いた
省エネアドバイスの自動生成に関する研究になります。

クライアント企業の名前での発表になります。

もともとは、金融で、人工知能アルゴリズムを用いたら資産運用アドヴァイスの自動生成の研究をしていたので、まさにその応用なります。

省エネでは、幾つかの行動で提案を条件に応じて、インパクトの大きさを計算して、最適な提案を絞り込むロジックです。

それに対して、資産運用は、投資家の嗜好・ニーズを質問で取り入れ、現在投資している投資ポートフォリオを換算して、最小分散計算で、保有したらいい銘柄を提案するものです。

イメージは、たくさんの玉を上から流して、条件で、その玉を絞り込んで、最終的なアウトカムを計算するして最適な玉の組み合わせだけを残すというイメージです。ほとんどの最適化問題はこのイメージで処理できると思います。

2016年9月3日土曜日

ESG投資のデータ分析で間違いやすい過ち


SIRの熊沢です。
ESG
投資のデータ解析で間違いやすい過ちについて指摘しておきたいと思います。これは、証券会社のアナリストレポートを見てもほとんどが間違えています。よくある間違いは、ESG要因のKPIと超過リターンの相関を見ようとすることです。

 それぞれのESG要因のKPIと超過リターンの相関を見てもその影響度を知ることはできません。また、大手証券会社がESGレポートでよくやっているのですが、例えば、女性取締役比率の高い企業群でポートフォリオを組んでそれが市場平均を上回ることを見ても、そのKPIが株価に影響を与えたかどうかを判定することはできません。

 何故かというと、個々のESGKPIよりも財務パフォーマンスの影響度の方が大きいからです。ですから、非説明変数である超過リターンに対して、説明変数として1つのESG要因のKPIだけを見るのではなく、財務要素も説明変数に加える必要があります。それにESG要因のKPIを入れることで、その財務要因をコントロールした上で、ESGの影響度を見ることができます。また、ESG要因はセクターによる違いがものすごく大きいので、このセクターもコントロールする必要があります。いわば、条件付き確率として、ESG要因の影響度をみる必要があるということです。数学的にいうと、相関でなくて偏相関係数を見るべきなのです(図参照)。

2016年9月2日金曜日

データ解析に基づかないESG投資は必ず失敗する


SIRの熊沢です。
「データ解析に基づかないESG投資は必ず失敗する」
これが弊社のメインコンセプトの1つでもあります。

いい会社というイメージ、知名度で投資しても超過リターンを得ることはできません。まず、ESGと財務パフォーマンスの両立を考えた場合、財務パフォーマンスが低いと超過リターンはまず出ません。

また、財務とESGが両立できていたとしても、超過リターンが出るかはセクターによってパターンがだいぶ異なっています。また、そのパラメーターとその閾値水準をデータ解析で知っておく必要があります。

えてして、企業さんは総花的にESG要因を高めるようとしますが、投資家的には重要なESG要因は高いパフォーマンス、重要ではないESG要因には力を入れない組み合わせが超過リターンは4%ほど高くなります。ですから、セクターによって異なる重要なESG要因なのかをデータ解析で知っておく必要があります。ESG要因は120以上あるので、これはデータ解析しないと知ることはできません。

という感じなので、データ解析に基づかないESG投資はイメージ投資に終わりますが、それではまず成功しないでしょう。

これをクリアするために、弊社でESG投資ダッシュボードシステムを開発しました。投資が企業とエンゲージメントする際にも有効なシステムとなっております。

ESG投資が実はビッグデータ解析であることがまだ市場で認識されていないので、逆に超過リターンを得るチャンスになるとも言えます。

2016年9月1日木曜日

日本の株式市場は企業も投資家も近視眼的?


投資家と企業の間のショートターミズム(短期志向)をどう克服するかは株式市場にとって非常に重要なテーマになっています。日本版スチュワードシップコードが設定された背景にもなっています。

質問 日本の株式市場において
投資家が近視眼的か、長期的視点を持って行動しているか?
企業が近視眼的か、それとも長期的な行動を取っているか?
結果、両者の一般均衡はどうなっているか?

以下のシステムで簡単に思考実験を行うことができます。

ROE8%以上を達成、かつ3年間のROEが改善した企業の中で、研究開発比率を増えした企業が133社であるのに対して、研究開発費を偉した企業が254社ある。企業はやや近視眼的に研究開発費を減らしてROEを高める行動を取っている。

2つの超過リターンを見ると、研究開発比率を増えたした企業群の平均超過リターンは34.2%であるのに対して、研究開発比率を減らした企業群の平均超過リターンは49.6%となっている投資家は近視眼的行動を評価する

つまり、日本の株式市場は企業も近視眼的、投資家も近視眼的な一般均衡にあると考えられます。

このシステムだけで、だいぶ超過リターンを得る投資戦略を作る上で必要な情報を得ることができます。