2016年9月3日土曜日

ESG投資のデータ分析で間違いやすい過ち


SIRの熊沢です。
ESG
投資のデータ解析で間違いやすい過ちについて指摘しておきたいと思います。これは、証券会社のアナリストレポートを見てもほとんどが間違えています。よくある間違いは、ESG要因のKPIと超過リターンの相関を見ようとすることです。

 それぞれのESG要因のKPIと超過リターンの相関を見てもその影響度を知ることはできません。また、大手証券会社がESGレポートでよくやっているのですが、例えば、女性取締役比率の高い企業群でポートフォリオを組んでそれが市場平均を上回ることを見ても、そのKPIが株価に影響を与えたかどうかを判定することはできません。

 何故かというと、個々のESGKPIよりも財務パフォーマンスの影響度の方が大きいからです。ですから、非説明変数である超過リターンに対して、説明変数として1つのESG要因のKPIだけを見るのではなく、財務要素も説明変数に加える必要があります。それにESG要因のKPIを入れることで、その財務要因をコントロールした上で、ESGの影響度を見ることができます。また、ESG要因はセクターによる違いがものすごく大きいので、このセクターもコントロールする必要があります。いわば、条件付き確率として、ESG要因の影響度をみる必要があるということです。数学的にいうと、相関でなくて偏相関係数を見るべきなのです(図参照)。

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