2016年5月17日火曜日

社会的インパクト評価はどこを目指すのか?


三菱UFJリサーチ&コンサルが主催した「米国における社会的インパクト評価の現状に関するセミナー」に参加した。

 個人的な印象は、インパクト評価のフレームを開発・提供している団体へのヒアリングが主で教科書的な話が多かった。全体の総括も、教科書的(米国:民間の強力なイニシアティブ+多様な人材+マルチセクターによる協働)で、大変失礼ながら、米国にわざわざヒアリングに行くまでもないでしょ、と突っ込みたくなる内容だった。

米国でSROIはほとんど聞かれることはない。もっぱらRCT Randomized Controlled Trial:ランダム化比較試験)である(図表)。

様々なインパクト評価手法・ルーツはあるにしろ、RCTをベースに、NPONGOのプログラムを評価していくという方向性は変わらないと思う。

各インパクト評価手法でアプトプットやインパクトの捉え方や範囲が違ったりするが、エビデンスベースを作るベースであるRCTは不可欠ではないかと思う。

日本が足りないのはこの部分の認識とマインドセットであり、最初にインパクト評価で着手すべきなのはこの部分ではないかと思う。

日本でインパクト投資のエコシステムをどう作るかという問題提起があった。

理論的にはインパクト評価ができるとインパクト投資が活発化するように思えるが、おそらくインパクト評価が最初のハードルではないのではないかと思う

実際、米国ではAcumenはインパクト投資会社であるが設立当初はインパクト評価はうたっていなかった。インパクト評価がなくても、また未熟であってもインパクト投資は成長する証左である。現在、Acumenはリーンデータによる評価、事業の改善という方向に向かっており、投資家向けのインパクト評価の方向も厳密、精緻化よりもより簡易なリーンな方向に向かっている。インパクト投資においても、SIBの評価においても、SROIは使いにくいので何れ廃れていく方向ではないかと思う。

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