2016年5月28日土曜日

企業側からインパクト投資を考える視点も重要


インパクト投資というと投資家の側からだけ考えがちであるが、企業側からインパクト投資を捉える視点も重要である。

例えば、トヨタによる2050年を展望した「脱エンジン宣言」と同社による長期株主育成を目的とするAA型種類株の発行し、社会性の高い企業活動を具体的なファイナンスの手段で支える動きがある。

また最近、米スターバックスはコーヒー栽培・流通を長期的にサステナブル(持続可能)にするためのプロジェクトの資金調達で5億ドル(約545億円)規模の米サステナビリティボンドを発行した。この10年物優先債の表面利率は2.45%。調達した資金は、具体的にはコーヒー労働者への適正報酬や野生生物保護などに充てられる。このボンドも投資家から非常に人気になっていた。

グリーンボンドの発行は多く見られるが、事業会社のソーシャルボンドの発行は非常に少ない。全世界でもまだ20回ぐらいしか発行されていない。

企業側、資金調達側からすると、資金用途をあえて限定することは、フリーハンドで調達するよりも不利のように思えるが、企業側からすると、自社のコミットメントを示すことで、ブランディングがそのデメリットを上回るメリットがあるということなのだろう。

このように、資金調達側が資金用途をソーシャルやグリーンに限定すると、投資側はインパクト投資を行いやすくなる。

このような動きは、今のところはトヨタやスターバックスのような、消費者から認知された一流企業からしかこの動きは見られないが、今後ますます広がっていくだろう。

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