2016年7月30日土曜日

地球温暖化に環境金融でどう対応できるか?

SIRの熊沢です。
昨日は、藤井先生の一般社団法人環境金融研究機構の主催で、環境省の方のパリ協定を踏まえた日本温暖化対策計画の説明を聞いてきました。
自分の感想
現在の経済水準を維持しつつ地球温暖化に対応するには、石炭火力から再エネにどうシフトできるかが最重要。
しかしながら、経産省がエネルギー政策を統括し、環境省がC02、温暖化を見るという、同じコインの表と裏を引っ張りあっている状態。総量は環境省、効率は経産省。現在は経産省の方が強いので、日本の環境政策はFIT(固定価格買取制度)を取ってちぐはぐである。パリ協定で総量を規制していく段階なので、環境省が主導した方がスマートでしょう。
環境省の役人が米国のPACE債を知らなかったのは驚かされた。海外で効果があった環境金融手法の日本への適応可能性を考えるのは政策立案の初歩の初歩なんですけど、、
私のアイデア1
地方自治体で地方債に加えてグリーンボンドを発行するというアイデアを思いつきました。これは自治体にとって新たな財源になるのではないかな? 
私のアデイア2
現在、銀行の石炭火力への融資が座礁資産になるリスクが指摘されているので、金融機関がグリーンボンドを両建てで持つことでリスクのオフセット、リスクエクスポージャーを下げることができるので、何らかの政策誘導ができればすごく有望とみます。そうすると、グリーンボンドの受け皿が作れるので、あとは、玉(グリーンボンド案件)をいかに作り出すかです。温暖化は世界的な対応事項なので海外グリーンボンド案件を含めていいと思います。
私のアイデア1+アイデア2を組み合わせると、政策インパクトはすごく大きいと思います。
将来、インパクト投資市場が広がった場合、おそらくこのグリーン関係が約5-6割は占めると予想しています。ですので、環境の外部性を内部化する新しい金融メカニズムを開発したいと思っています。

2016年7月29日金曜日

GPIFのESG指数の問題点は?


SIRの熊沢です。
東大の機械学習に詳しいインターン生と議論して、GPIFESG指数、インデックスの何が、どこが古いのかがわかりました。

指数化の想定は、
1)
指数は、複数の評価基準を固定化してスクリーニングする
2)
総合化のためのウエートづけの比率はかなり恣意的に決める

この結果作られた指数、インデックスは作った時は市場平均を過去の実績としてアウトパフォームするが、その持続性は脆弱である

これを転換するには、
1)
複数の評価基準をパラメーターにして可変にする
2)
ウエートづけも固定化せずに動かすことができる可変にする

その結果、
各投資家がパタメーターを自由に動かし、リアルタイムの実験ができるようにして、柔軟に自分のポートフォリオをダイナミックに調整できるようにする、

というのが解答になると思います。
やはり、指数、インデックスはビッグデータ解析時代以前の怠け者のための産物にすぎないと思います。わかりますでしょうか?

GPIFのESG指数ってどうなの?


SIRの熊沢です。
GPIF
ESG指数の公募を始めていますが、
このテーマで社内で色々議論すると、既に、指数化にするという発想自体が古い、という意見が主流でした(笑)。

指数化作成のプロセスは、
過去のデータでスクリーニング基準を設ける
その基準を満たす企業を選択過去のパフォーマンスは市場平均をアウトパフォームするという手順になると思うんですが、

ESGのような投資家にとって多様な要素があるものを1つの指数(価値基準、ウエートにする)ことの矛盾

また、過去の実績でアウトアフォームしても、それは将来のアウトパフォーマンスを全然保証しない

指数って単に目印に過ぎないんですけど、

本当の目的は、投資家が各自のESG選好に基づいて投資でき超過リターンを得ることができるようになること、もしくはその検討ができるようになること

の目的であれば、指数化する必要は全くないし実は弊害の方が大きい。

今は、ビッグデータの時代ですし、我々はデータ解析屋でもあるので、この不毛な指数作成には汲みせずに、独自路線を突っ走りたいと思います。GPIFに、日本の投資家に、指数化って本当は全然必要なかったんだとわかってもらうアルゴリズムを開発します(笑)

2016年7月28日木曜日

JSIFのESG投資カンファレンスの参加報告

SIRの熊沢です。
昨日はJSIFESG投資カンファレンスに参加しました。すごい数の人でした。これはESG投資のメインストリーム化がいよいよ来たな、と実感させられました。
上智の引間先生のご講演は特に面白かったです。個人的に話す時はお静かな感じなんですが、講演するとすごく熱が入って人が違ったみたいでした(笑)。アセットオーナーは立場的に好き勝手が言えるので、ここに見識が高い方がいると日本のESG投資のレベルが確実に上がります。
引間先生もおっしゃっていましたが、日本にはまだまだなんちゃってESGインテグレーション、なんちゃってエンゲージメントが多い。私も議論の時はこの部分はあまり深く突っ込みません。気まずくなりますので。
例えば、ニッセイアセットさんは社内でESGレーテイングで3分割して、それが超加リターンにも明確な差があるとデータを出されてました。
仮にこのデータが本当であってもこの持続性はないわけです。色々な業種のESGデータを日々データ解析してますが、業種によっては既にかなりESG情報を市場プライスが取り込んでいるケースがあります。
ESG要因が重要であるということと、それが超加リターンを生み出すということは一緒ではないです。そこを無理に示そうとするとどうしても背理法で矛盾がでます。ESG要因が企業経営に重要であるとともに、市場プライスに反映していないミスプライスがある場合にそのような結果になります。
何れにしても、データ解析に基づかないESG投資は必ず失敗する、ということは確かだと思いますので、アセットマネジャーさんはESG投資のデータ解析の体制をまずは早急に作る必要があるでしょう。

2016年7月26日火曜日

楽天


SIRの熊沢です。
最近、楽天の業績の不振が報じられています。アマゾンから引き離されているということもよく言われるようになっています。

私はその原因の一つは、陳腐化したミッション、事業の枠組みにあると睨んでいます。簡単にまとめましたのでご参考ください。

インターネットが本格普及して20年ぐらい経ちますから、かつてのネット先進企業、ヤフーしかり、楽天しかり、リクルートも衰えが目立つようになっています。米ヤフーはネット事業から撤退ですから。

簡単なリトマス試験紙は、その企業は若者から本当に支持されているか?です。アマゾンと楽天、どちらが若者に本当に支持されていますか? 若者の支持が低い場合、企業価値が急激に低下するリスクがありますので注意が必要です。

投資する前に、もう一度、その企業の原点、ミッションを見直して、現在のビジネスデザインが今後も有効な枠組みを作れているかを見てみる必要性があるでしょう。

http://www.slideshare.net/takukumazawa/vs-64339977

2016年7月25日月曜日

インパクト評価の勉強会

SIRの熊沢です。
7
26日の16時から大手町の東京銀行会館ビル14階(SIRのインパクト投資Lab)で、インパクト評価の勉強会を開催します。
日本のCSR権威でもある、味の素の中尾さんもご参加いただけるということなので、私の楽しみも1つ増えました(笑)
私が推進するコアコンセプトは、
「これまでの企業CSRは曖昧な成果評価に終わりがちでしたが、CSRにインパクト評価を取り入れることで、本業への貢献も明確化することができ、CSV実現に転換できる」というものです。
企業にとって魅力ありますでしょうか?
インパクト評価やさしくはないんですが、応用できれば学ぶ価値は十分にあります。
営利セクターが非営利から学ぶことができるのは、ミッションの重要性とこのインパクト評価ではないかと私は常々考えています。
そのために、
「企業CSRに活かすためのインパクト評価の7原則」をまとめました。勉強会で発表したいと思います。

2016年7月24日日曜日

GPIFのESG指数の公募について

SIRの熊沢です。
GPIF
ESG指数の公募を始めました。意図は、そのESG指数をベースにした国内株式のパッシブ運用の実現可能性を探っています。
ここからは自分の思考実験です。
おそらく、指数構築ルール(メソロジー)国内銘柄のレーテイング上位銘柄のユニーバスが長期(5年程度)で市場をアウトパフォームすることをバックテストで示す、というロジックになるのではないかと思います。
GPIFJPX400のような、そのESG版のようなものを想定しているのではないかと私は見ています。
応募資格の、過去に開発した指数に連動した運用が実際におこなわれていること、これを厳密に満たせる指数は日本に存在しませんので、SIRも公募に参加してよろしいでしょうか(笑)
このESG指数化の難しさは、ESG、特に、Eは業種による違いが大きいことです。環境効率は製造業と非製造業で全く違います。ですので業種関係ない一律のルールを適用しようとすると、非製造業、証券会社などが目立ってしまうという点です。
頭にメソロジーの構想は既にありますので、誰か一緒に開発しませんか?(笑)

2016年7月23日土曜日

ガバナンス論議に私から一言


SIRの熊沢です。

日本企業のガバナンス論議が活発です。
安倍政権のもとでガバナンス強化により企業の収益力を高める、高めることができるという掛け声のもとで
伊藤レポートでROE8%以上を目指すべし、社外取取締役を増やすべし

しかしながら、2年経って、日本の企業の収益性は高まらなかった。

ここでまた議論が分かれている
まだまだガバナンス強化が必要だ VS 形式だけの一律のガバナンス強化は意味がない

構図は、会計学者/法律家モデル VS ゲーム理論家、経営者モデル

会計学者、法律家の使用モデル:エージェンシー理論
経営者は見てないと怠けるから、インセンティブかモニタリングを強化する必要がある

ゲーム理論家、経営者の使用モデル:不完備契約理論+市場の規律
ガバナンス強化は経営者、従業員の自由度を狭め、近視眼的にするので、人的投資インセンティブを弱め収益力を高めることにつながらない。市場の規律も十分に働いている。

東芝のようにコングロマリットはモニタリングが難しくが、サイバーエジェントのようなオーナー型の単純事業は市場の規律は十分に働いている。

私はゲーム理論家であり、かつ経営者なので後者である。会計学者は経済学の古いモデル(エージェンシー理論)を使っているので、新しい情報の経済学の知見を取り入れることができていない。伊藤先生は会計学の権威だが、経済学者でもないので、使っている経済モデルが陳腐化しているのに残念ながら気づいていない。まさに、日本にとって老害。セブン&HDの伊藤さんをクビに追いやって悦に入っているが、このガバナンス強化のマイナスのインパクトは日本企業にとってMarketcap2割ぐらい吹っ飛ばすぐらいのメガトン級で、私はすごく危機感を持っている。

皆様はどう思われますか?

GPIFのESG投資の本格化


SIRの熊沢です。

昨日の日経でドーーーーン

GPIFESGの株価指数を作成し、ESG投資を本格化する意向であると報じられている。

昨年のPRI署名から、いろいろと水面下の動きはありました。ESGアナリストを募集採用したり。我々が主催したbloombergとのESG投資カンファレンスもGPIFから4名も出席したり、すごく情報収集されていました。

おそらく、今回は本格的に動くものと思われます。

今回の報道のESG株価指数を作成することにどういう意味があるのか?

指数組み入れ企業にGPIF、および追従する投資家からの買いが期待できるということで株価上昇が見込まれるでしょう。

いづれにしても、このESG投資推進の動きをプラスに活用するためには、データを活用できる体制を早く作ること、まずはこれに尽きます。

2016年7月21日木曜日

データ解析に基づかないESG投資は必ず失敗する!?


SIRの熊沢です。
8
月の終わりに、証券会社でESG投資に関する講演をします。
8
月は長期休暇にするつもりでしたが、、、

講演テーマは、「ESG投資からインパクト投資へ データ解析に基づかないESG投資は必ず失敗する」にしました。

早稲田大学博士課程の3年間のデータ解析の成果が盛り込まれますので、非常に価値あるものになると思います。私の思いは、この必ずという言葉の中に強く、強く入っています。

機関投資家限定、アセットマネジメント会社中心にする意向のようです。

ポジティブに、データ解析でESG投資は必ず成功するといいたいところですが、現状の市場関係者の情報リテラシーとムードを見ていると、ネガティブにデータ解析に基づかないESG投資は必ず失敗する、と言った方が共感度は高いのではないかと思います。

自分が何ができるかを明確に打ち出すために、名刺の肩書きを変えようと思います。

現在は、ソーシャルインパクト・リサーチの代表パートナーですが、

今後は、ESG投資データ解析アナリスト&代表パートナーに変更します(笑)
ちなみに、KKRESGレポートを出しましのでご参考ください。

https://www.dropbox.com/s/b3fo8cvy2225k9l/KKR%20APAC%20ESG%20Report%20Highlights%20Fact%20Sheet_Japanese.pdf?dl=0

このアメリカきってのバーバリアンもESGという時代に入りましたので、よろしくお願いいたします。

2016年7月20日水曜日

ムーンショット


SIRの熊沢です。
ムーンショットとは未来から逆算して立てられた、斬新な、困難だが実現すれば大きなインパクトをもたらす壮大な挑戦のことを意味しています。

例えば、ジョンFケネディの月面に人類を着陸させること。
グーグルのドライバー不要の自律走行車など。これもすぐに実現しそうですが。

自分のムーンショットは、
日本発の社会的証券取引所の創設、ブロックチェーンでソーシャルインパクトの交換マーケットを作ることでしょうか?
ムーンショットどころか、これも2-3年で実現しそうな気もしますが(笑)

投資家的視点からすると、経営者に一段高い目線、目標を持ってもらうことがすごく重要だと思っています。

ガバナンスを強化するよりも、投資先の経営者がより高い目標、ストラテジックインテントを掲げてもらう、ミッションをより高い次元に高めてもらうことの方が投資パフォーマンスを高めるでしょう。

2016年7月19日火曜日

企業のミッションを競争優位の源泉にするには?


SIRの熊沢です。
楽天とアマゾンのミッションを比較は考えさせられることが多かったです。写真はスタバのミッションです。inspireされます。

私の結論は、
企業のミッションが時代遅れの企業が失敗する。企業のミッションを時代にマッチするように進化、バージョンアップする企業は繁栄する。

SIRNPO/社会的企業のインパクト評価の経験から、ミッションこそが非営利セクターの最大の成功要因であることを発見した。

このミッションは、何も非営利セクターの専売特許ではなく、企業もミッションの戦略的活用を図ることで、企業にとっても最大の成功要因とすることができる。

これまで、企業のミッションは、創業期に、従業員は関与せずに経営者だけが作り、時代に合わなくても、そのまま使い続けることが多かった。また、ミッションの内容は壮大だが、全くこころに響かない、空虚なミッションを掲げ続けている企業も依然として多い。

しかしながら、企業のミッションは、従業員が自分の仕事に働きがいを感じさせるを意義、意味を提供する。また、企業の方向性と進捗を確認する上で重要な役割を果たす灯台のような役割を果たす。かりに、船が間違った灯台の光を頼りに航海したら、目的地に着かないし、難破する危険にさらされる。これと同様に、企業のミッションが間違っていたり、時代遅れであると企業の成功には大きな足かせとなる。

 ミッション策定に、社員も強く関与させ、時代にあったものに進化、バージョンアップさせることで、企業はミッションを最大のコンピタンス、競争優位の源泉として機能させることができる。

さらに、実証していきたいと考えています。

2016年7月18日月曜日

楽天とアマゾンを比較してみると


SIRの熊沢です。

さて、私からの質問です。
「楽天とアマゾンを、理念(ミッション)、ビジネスモデル、ビジネスプロセス、KPIなどを比較し、今後のインターネット業界のトレンドを考えて、どちらの企業が成功するかを自分の予測と根拠を示すこと。」

ビジネススクールのケースにもってこいの質問ですね。

私が比較するとこんな感じになります。

 楽天のおもてなしは一部の人には意味があるんですけど、アマゾンの価格と品揃えの方が万人に意味のあるものです。この違いが、ビジネスモデルにも反映していますし、グローバル展開の成功失敗にもつながっています。

実は、この根本的な違いはミッションの違いから生じています。楽天のエンパワーメントの対象は人々と社会は店舗運営者と最終ユーザーの両方を含んでいますが、その優先順位は曖昧なままで明示されない(明示できない)のに対して、アマゾンは最終ユーザーのみに完全にフォーカスしています。

うーん。NPOだけではなく、ミッションが企業分析においても全ての根本なんですね。そして、それがKPIの違いにも影響します。

ミッション顧客価値ビジネスモデルビジネスプロセス→KPI

後、この2社の違いはイノベーションの実績です。三木谷さんとベゾスさんのキャラクターの違いからも生じていると思いますが、楽天は創業以来、漸進的イノベーションは行ってきましたが、抜本的なイノベーションはありません。それに対して、アマゾンはそれぞれ7年ぐらいかけて大きなイノベーションを育てることに次々と成功してきました。まさに、リアルオプションを行使してきたと言えます。大きなイノベーションは長期的な忍耐力がないと難しいんですね。

今後のメガトレンドも楽天よりもアマゾンにプラスになるものが多いです。

時価総額は、楽天の1.6兆円、アマゾン32兆円です。

皆様も、自分の業界企業でミッション、顧客価値、ビジネスモデル、ビジネスプロセス、KPIなどを比較してみてください。同業種だけでなく、他業界の優れた企業と比較すると視野が広がり、自社のミッションにいい部分を取り入れるのはすごく経営的に効果があると思います。

2016年7月17日日曜日

楽天のビジネスモデルはもう古いか?


SIRの熊沢です。
久しぶりに楽天を調べています。99年に私もウィットキャピタル証券のアナリストをやっていて、このセクターを同僚とカバーしていたので懐かしいです。

ヤフーと並ぶインターネット第一世代ですが、現況はどうなのでしょうか?

楽天のミッション
 楽天グループは、インターネットを通じて、人々と社会をエンパワーメントすることを経営の基本理念としています。
エンパワーメントはユーザーと取引先を両方含んでいます。

楽天のビジネスモデル
 ビジネスモデルは、B2B2C型になっています。当初はショッピングモールと言われました。アマゾンはB2C型で最終顧客(C)の購買支援という立ち位置ですのでここが決定的に違います。

アマゾンと楽天の比較
 楽天は、店舗の店長のもてなしなど人間的要素に依存するところがより強いと言えます。今後、ネットの世界では最終ユーザーの影響力がより大きくなっていくことを予想されるので、ビジネスモデルは楽天よりもアマゾンの方の優位性が高いと見ます。ソーシャルな力の拡大をそれほど力にしていくことができるモデルでもありません。また、人のレコメンドよりもアルゴリズムのレコメンドの精度がどんどん高まってきているので、その点でもアマゾンに遅れをとることが予想されます。

楽天のKPI
 現在の楽天のKPIは、国内流通総額の伸び、楽天カードユーザー比率、カード決済比率などです。
 私が注目するKPIは広告宣伝費率と、カード会員の解約率です。この点のネットサービスで広告費が高かったり、比率が高まっているのはビジネスモデルが時代に合わなくなった証拠となります。また、カード会員を無理に増やそうという歪みが解約率にも出てくるのでこのあたりのリスク指標としては重要になります。

私の見方
 楽天のビジネスモデルは創業以来、本質的には変わっていません。
流通総額を増やすことで手数料を増やしていくモデルです。今後、さらに流通総額の伸び悩みが成長のボトルネックになるでしょう。特に、若者世代の取り込みが弱まっているのではと予想します。ですので、流通総額に依存しないても、価値の生み出せるモデルに転換するか、中小小売店舗出店企業とユーザーのエンゲージメントを高める新しい方法、仕組みなどを開発する必要があるでしょう。

2016年7月16日土曜日

日本企業が低収益な原因はガバナンスが効いていないから?


SIRの熊沢です。

日経の揺れる企業統治など、ガバナンス関連の話が多いですが、

私から見ると、原因をはきちがえているので、処方箋も間違っています。(笑)

キャッシー松井さんは業績連動報酬で改革促せ
慶応の池尾教授は議論は入り口、道のり長く

うーーーん。

企業の収益性が低い、ROEが低いその原因は経営陣がサボっているせいだ監視等のガバナンスの改革へ

いえいえ、経営陣はサボっているわけではなくて、これまでのビジネスの常識や慣習、社内のしがらみから新しい発想で社内を改革できないだけです。

一言で言うと、ビジンスモデルが時代に合わなくなったケースが大半です。

私は、ガバナンスの議論でこれまで一度もビジネスモデル、イノベーションという言葉に出会ったことがありません。

使う用語が狭いと議論が狭いですし、発想が貧弱になります。

任天堂にビジネスモデル変革の兆しがあり、株価が棒上げとなっています。岩田社長がお亡くなりになり、新しい社長が新しいビジネスモデルを展開しやすくなりました。

古いビジネスモデルが新しいモデルに転換して時代にマッチしたら、投資リターンは年率40%を軽く超えるでしょう。投資家はいろいろなことから学びましょう。

長期の投資には長期投資家が必要


SIRの熊沢です。休日ですので雑談です。

いろいろなアセットマネジメント会社の人と話しています。

その中で気づかされるのは、
インパクト投資のファンドがうまく機能する条件の1つとして投資家が長期的視点で投資してくれるということがあります。長期的な投資を行っても投資家がいつ解約するかわからないと非常にビクビクするわけです。

現在の投信は販売会社の方針もあり、短期売買主義で足が速いです。

最近、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが元気です。川崎汽船などにガバナンスを行使して話題になっています。

実は、このファンド契約には実は資金を簡単に引きだせない制限条項が入っています。鎌倉投信も長期投資ですが、制限条項は入っていないので基本投資家はいつでも解約できるので、キャッシュポジションが25%ぐらい持っており、それは非常にもったいないことです。

というわけで、長期のインパクト投資ファンドには財務条項をつけるのがいいのではないかというのが私のアイデアです。

この契約条項の方が、投資家、企業に長期的な視点をもたらすので、ガバナンス改革以上に有効なのではないでしょうか?