2016年7月17日日曜日

楽天のビジネスモデルはもう古いか?


SIRの熊沢です。
久しぶりに楽天を調べています。99年に私もウィットキャピタル証券のアナリストをやっていて、このセクターを同僚とカバーしていたので懐かしいです。

ヤフーと並ぶインターネット第一世代ですが、現況はどうなのでしょうか?

楽天のミッション
 楽天グループは、インターネットを通じて、人々と社会をエンパワーメントすることを経営の基本理念としています。
エンパワーメントはユーザーと取引先を両方含んでいます。

楽天のビジネスモデル
 ビジネスモデルは、B2B2C型になっています。当初はショッピングモールと言われました。アマゾンはB2C型で最終顧客(C)の購買支援という立ち位置ですのでここが決定的に違います。

アマゾンと楽天の比較
 楽天は、店舗の店長のもてなしなど人間的要素に依存するところがより強いと言えます。今後、ネットの世界では最終ユーザーの影響力がより大きくなっていくことを予想されるので、ビジネスモデルは楽天よりもアマゾンの方の優位性が高いと見ます。ソーシャルな力の拡大をそれほど力にしていくことができるモデルでもありません。また、人のレコメンドよりもアルゴリズムのレコメンドの精度がどんどん高まってきているので、その点でもアマゾンに遅れをとることが予想されます。

楽天のKPI
 現在の楽天のKPIは、国内流通総額の伸び、楽天カードユーザー比率、カード決済比率などです。
 私が注目するKPIは広告宣伝費率と、カード会員の解約率です。この点のネットサービスで広告費が高かったり、比率が高まっているのはビジネスモデルが時代に合わなくなった証拠となります。また、カード会員を無理に増やそうという歪みが解約率にも出てくるのでこのあたりのリスク指標としては重要になります。

私の見方
 楽天のビジネスモデルは創業以来、本質的には変わっていません。
流通総額を増やすことで手数料を増やしていくモデルです。今後、さらに流通総額の伸び悩みが成長のボトルネックになるでしょう。特に、若者世代の取り込みが弱まっているのではと予想します。ですので、流通総額に依存しないても、価値の生み出せるモデルに転換するか、中小小売店舗出店企業とユーザーのエンゲージメントを高める新しい方法、仕組みなどを開発する必要があるでしょう。

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